2019年09月10日 12:13 公開

アメリカのドナルド・トランプ大統領は9日、アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンとの和平交渉は「死んだ」と述べ、交渉を打ち切る考えを明らかにした。同国では18年間にわたって戦争が続いており、双方が和平に向けて話し合いを続けていた。

トランプ大統領はこの日、ノースカロライナ州での集会に向けてホワイトハウスを出発する際、記者団に対し、「私に言わせれば、和平交渉は死んだ」と述べた。

「秘密会談」を取りやめ

米政権とタリバンの和平交渉は大詰めを迎えていたとみられていた。

しかし、トランプ氏は7日、大統領公式別荘キャンプデイヴィッドで8日に予定していたタリバンとの「秘密会談」を取り止めたと表明。アフガニスタンの首都カブールで5日に発生した自動車爆破事件で、死者12人の中に米兵1人が含まれていたことが、この決定につながったとしている。

トランプ氏は9日、「タリバンは、交渉で少しばかり有利な立場になるために、人を殺さなければならないと考えていた」とし、この攻撃は「大きな間違い」だと述べた。

「秘密会談」には、タリバン指導者とアフガニスタンのアシュラフ・ガニ大統領が出席の予定だったという。

タリバンは、「秘密会談」を取りやめたアメリカは「多くの損害を出す」だろうと非難した。

米兵撤退で大筋合意も

今月2日には、米政府でアフガニスタン和平担当特別代表を務めるザルメイ・ハリルザド氏が、20週以内に同国駐留の米兵5400人を撤退させることで、タリバンと大筋で合意に達したと明らかにした。ただし、タリバンがアフガニスタンを攻撃拠点として利用しないことが条件だとした。

トランプ大統領は、米軍が現在、アフガニスタンに駐留させている兵士約1万4000人について記者団に問われると、「われわれは撤退したいが、適切な時期に撤退することになるだろう」と述べた。

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トランプ氏の主張

トランプ大統領は9日、「われわれは会談を予定していた。僕の提案だった。そして僕の判断で取りやめた。この事について、誰とも話し合ってすらいない」と述べた。

「タリバンは、絶対にすべきではなかった事をした。それを踏まえて、僕はキャンプデイヴィッドでの会談を中止した」

米同時多発テロが起きた「9月11日」のわずか数日前に、タリバンを迎え入れる可能性を考慮していたことをめぐり、トランプ氏には批判の声が上がっている。

しかしトランプ氏は、「会談を行うことはいい事であり、悪い事ではない」と述べ、自分の案を擁護した。

米兵16人が犠牲

和平交渉の間、タリバン側は、アフガニスタン人や外国軍を標的とした暴力的な作戦を止めると合意したことは1度もなかった。今年だけで、米兵16人が犠牲になっている。

米軍を中心とする有志連合軍は2001年、当時アフガニスタンで政権を握っていたタリバンが、同時多発テロを計画した国際武装組織「アルカイダ」をかくまっているとして、同国に侵攻した。

和平交渉はどこまで進展していたのか

タリバンのザビフラ・ムジャヒド広報官は声明で、7日までは交渉が進んでいたと述べた。

同報道官は、米政府は1件の爆破を受けて協議から離脱したとして、成熟と経験が足りないと批判した。

これまで米政府とタリバンとの協議は、カタールの首都ドーハで9回重ねられてきた。

タリバン、国土の7割で活動

タリバンは現在、2001年の米軍侵攻以降、最も勢力を拡大している。昨年から目覚しい勢いで支配地を取り戻しており、BBCの取材では、アフガニスタンの国土の70%で活動しているとみられる。

タリバンは、米兵撤退の日程が確定するまでは、アフガニスタン政府との直接交渉には応じないとしている。

(英語記事 Afghan peace talks are dead, Trump says