上久保誠人(立命館大政策科学部教授)

 安倍晋三首相が内閣改造と自民党役員人事を行った。今年11月には桂太郎を抜いて、歴代最長の首相在職日数となる安倍首相にとって、2021年9月の自民党総裁任期切れ前の最後の組閣になる可能性もある。首相は「安定と挑戦」の人事だと誇るが、実際は長期政権の疲れがにじみ出た人事ではないだろうか。

 今回の人事で注目されたのが、約70人いるとされる、当選回数を重ねても入閣経験のない「待機組」の処遇だ。元々、自民党の人事は「年功序列」ならぬ「年序列」と揶揄(やゆ)されてきた。

 それは、長期政権を前提として、日本企業の人事システムのように、能力にかかわらず、当選回数に応じて政務官、副大臣、大臣と順番に出世していく人事システムだ。そして、閣僚のポストは、首相が派閥からの推薦を受けて、派閥間のバランスを図って決められた。

 だが、そのシステムは「自民党をぶっ壊す」と登場してきた小泉純一郎首相が、派閥からの推薦を無視して、一本釣りの抜擢(ばってき)人事を断行したり、女性や民間人を登用したりしたことで崩れ始めた。また、2009年から12年は、政権交代で自民党が下野したことに伴い、システムの前提となる「年序列」自体が成り立たなくなり、次第に形骸化した。

 そして、政権に復帰して誕生した、「お友達内閣」と呼ばれる第2次安倍政権では、首相が信頼するベテランや側近が閣僚・党役員ポストを占め続けた。派閥からの推薦による「年序列」での入閣は、極めて狭き門となっていた。

 そのため、各派閥は今回の内閣改造・党役員人事を、入閣適齢期の所属議員を何とか起用してもらおうと必死に働きかけていた。安倍首相も「自民党は老壮青の人材の宝庫だ」と発言し、幅広い人材の登用を示唆してきた。

 だが、その期待は深い失望に変わってしまった。確かに、念願の入閣を果たした議員はいる。しかし、それは「お友達」ばかりだったからだ。
2017年1月、安倍晋三首相の東南アジア・豪州歴訪に同行する萩生田光一官房副長官(右)と河井克行首相補佐官。第4次再改造内閣ではともに入閣した(春名中撮影)
2017年1月、安倍晋三首相の東南アジア・豪州歴訪に同行する萩生田光一官房副長官(右)と河井克行首相補佐官。第4次再改造内閣ではともに入閣した(春名中撮影)
 文部科学相には、萩生田光一氏が起用された。安倍政権では文科政務官、総裁特別補佐、官房副長官、幹事長代行を務めてきた。一貫して首相の側近として行動し、「保守的」な言動で知られてきた。