ただし、10月の実施を控える消費税率の10%引き上げは既に決着がついている。首相が甘利氏に求めるのは、増税実施後に景気が不安定化した場合、所得税や法人税の減税など、即座にありとあらゆる手を打って景気を安定させることだ。

 また、衆院解散・総選挙ということになれば、当然経済対策を打ち出さねばならない。安倍首相としては、どんな事態にも柔軟に対応するために、党税調を完全に掌握したいということだ。だが一方で、麻生財務相、岸田文雄政調会長の留任と合わせて、アベノミクスに変化はないともいえる。

 「今後も変化なし」を宣言するばかりの安倍人事だが、唯一目を引くのが、小泉進次郎氏の環境相起用だろう。当選4回の小泉氏の起用は「抜擢人事」といえる。

 だが、環境問題といえば環境省と経産省の対立があるうえに、安倍政権には、二階氏、甘利氏、茂木氏、世耕氏と歴代大臣経験者が揃い、経産省と深い関係がある政治家が多い。

 経産省の政治力が圧倒的に強い政権で、小泉氏に求められる役割は「客寄せパンダ」ではないだろうか。福島第1原発の汚染水問題で難癖をつける韓国にズバリと反論し、「お・も・て・な・し」のクリステル夫人とともに、小泉氏の強い発信力で東京五輪・パラリンピックを気持ちよく迎えたいということだろう。

 これが最後かもしれない安倍人事から見えてくるものは、安倍首相の深い疲労ではないだろうか。首相自身、長期政権の成果に満足しているのだろう。

2017年9月、衆院が解散し開かれた自民党の両院議員総会を終え、安倍首相(左)と握手する小泉進次郎氏
2017年9月、衆院が解散し開かれた
自民党の両院議員総会を終え、
安倍首相(左)と握手する小泉進次郎氏
 もちろん、世の中にはさまざまな批判が存在するが、首相は既に疲れてしまっていて、批判など聞きたくないと思っているのだ。だから、主要政策の担当大臣には、長年取り組んできたベテランを配置して、答弁を任せたいと思っている。そして、周辺にはひたすら首相をヨイショしてくれる若手や中堅を置いて、気分よく過ごしたいということだ。

 小泉氏を起用することで、一応「挑戦」する姿勢を見せている。多くのメディアは、既にその抜擢を絶賛している。

 しかし、小泉氏は安倍政権で最も仕事しづらいポストに配置され、完全監視下で「客寄せパンダ」を演じさせられることになる。小泉氏にエールを送るとすれば、若いうちに「冷や飯」を食わされることこそ、リーダーになるための最高の修行だ。だから「客寄せパンダ」をやり切ってみせればいいのである。