だが、アユだけは、補償金額が上がると同時に単価も1・5倍に上昇するといった解せない状況がある。これについて、山梨県に問い合わせたところ、担当者は「知りません、調査をしている途中です」と答えるばかりだ。

 これはこの業界でよくある手口だが、放流のトン数を水増しすることがある。まさに「水商売」と皮肉もいわれるゆえんで、リベートをおとりに無償提供したり、キックバックしたりするケースが横行しているという。今回の富士川の件がこれに該当するかどうかは分からないが、法改正していくべきポイントだろう。

 過去には、他の漁協だが、放流する稚魚をそのまま転売するケースもあった。漁協は、公的な団体にもかかわらず、公益法人法ではなく、漁業法や水産法、協同組合法などによるガバナンスであり、非常に弱く緩い。

 来年、内水面(河川や沼、池など)のガバナンスに関する法律は厳しくなるが、まだまだこれらの問題が解決するには課題も多い。筆者が直接指摘したケースでは、和歌山県の有田川漁協が、入漁権を県の許可を得ずに勝手に値上げし、違法で差し止めされたこともあった。

 逆に、岐阜県の高原川漁協の年券額がいきなり倍になったことなどは、社会通念上はありえない方法で決定され、県がろくに審査もせずに許可してしまったことが要因だった。

 富士川の問題の背景にも、山梨県の担当者のスキルの低さや県の漁場管理委員会の委員選考や審査の形骸化がある。富士川漁協が声を上げず、補償金をもらってだんまりを続けていたことや、高原川漁協のように補償金もらい、放流資金は潤沢だから自分たちでその運営を決めるなど、補償に関するガバナンスや情報公開議決ルールもない。
 
 要するに、今回の富士川については、日軽金に問題が集中しているようだが、やはり国の政策面が一番の課題であることは間違いない。このまま放置すれば、サクラエビや川魚の減少と同様のことが全国各地で発生するだろう。

 そもそも、静岡県は海に面しており、環境意識が高い中で起こったが、これまで問題視されず、地元漁業に多大な影響を与えてしまった。先に記したように、熊本県の球磨川では初めてダムを撤去した例がある。
駿河湾から望む富士山(GettyImages)
駿河湾から望む富士山(GettyImages)
 老朽化したダムは環境破壊につながるだけに、相当の予算が必要だとしても、不要不急のダムは撤去すべき時代になった。駿河湾のサクラエビ不漁問題を機に、ダムや河川に関する法整備などを進めるべきである。