2019年09月21日 0:26 公開

米ニューヨークで開かれる国連気候行動サミットを前にした20日、若者を中心に地球温暖化への対策を求める様々な抗議行動が欧米やアフリカ、アジアなど世界各地の150カ国で行われた。数百万人が行進したとみられ、人為的な気候変動に対する抗議としては過去最大規模のものとみられる。

昨年8月から金曜日ごとに学校を休み、スウェーデン国会の前に座り込んで温暖化対策を訴え始めたのを機に、気候変動対策を求める若者たちの中心的存在となったグレタ・トゥーンベリさん(16)はこの日、各地の抗議の様子を次々とツイートした。温暖化対策を訴える活動でノーベル平和賞の候補になっているトゥーンベリさんは、国連でのサミット出席のため、温室効果ガスを排出しないヨットで大西洋を渡り渡米した。

この日はニューヨークで同日正午(日本時間21日午前1時)から行進の先頭に立った。マンハッタン南部のバッテリー公園で登壇すると、「グレタ! グレタ!」という歓声に迎えられた。

たった1人のストを昨年始めたときから使っている「気候のための学校スト」というプラカードを手にしたトゥーンベリさんは、「緊急事態です。私たちの家が燃えています。住んでいるのは若者だけじゃない、全員が影響を受けるんです」と訴えた。

スウェーデン国会前で1人で始めた抗議行動が注目されて以来、英下院や米連邦議会などに招かれてきたトゥーンベリさんは、23日から始まる国連気候行動サミットでも演説する予定。

しかし、トゥーンベリさんはこの日、どこへ行っても「空約束は一緒、うそは一緒、何もしないのも一緒です」と、権力者を批判した。

その上で、気候行動サミットの開催によって世界の目が国連に集まるこの時こそ、各国指導者にとっては「私たちの声が実際に聞こえていると証明する、リーダーシップを発揮するチャンスです」と、トゥーンベリさんは呼びかけた。

「今日のこれが、ピープル・パワーの姿です」と強調しながら、トゥーンベリさんは「私たちを脅威に思っている人たち」に向けて、「これは始まりに過ぎません。その人たちがどう思おうと、変化は近づいています」と述べた。

ニューヨーク州では公立校1800校の生徒110万人が、授業を休み抗議に参加することを許可された。

20日の世界的な気候対策抗議は、温暖化による海面上昇で国土水没の危機に直面する、キリバツやソロモン諸島、ヴァヌアツなどで始まった。インターネットに投稿された動画では、市民が「私たちは沈んでいない、私たちは闘っている」と繰り返している。

https://twitter.com/350Pacific/status/1174849318718558215


海水温の上昇でグレートバリアリーフのサンゴ礁の白化が進むオーストラリアでは、全国で35万人が抗議行動に参加したとみられる。生徒や労働者の参加を促す自治体もあったという。

日本では東京のほか、札幌や福島、京都、大阪、広島、長崎など各地で様々な抗議イベントがあった。

日本の気温は他の国よりも目立って急速に上昇しており、東京は100年前より約2.3度、暑くなっている。国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書は、温暖化対策を取らなかった場合、今世紀末の平均気温が最大4.8度上昇すると予測している。これをもとに日本の環境省が作成した最悪のシナリオでは、2100年の東京の最高気温は43.3度に達する。

ドイツでは約500カ所で様々な抗議集会が開かれ、首都ベルリンでは少なくとも10万人が「気候スト」に集まった。推計の方法によっては27万人に上るという見方もある。

ドイツ政府はこの日、温室効果ガスの削減を目標とした、540億ユーロ(約6兆4000億円)規模の総合対策を閣議決定した。二酸化炭素(CO2)排出量を価格に換算し、企業などに負担させる仕組みの導入が柱となる。

フィリピンでは大勢の大学生や高校生が学校を休み行進した。香港中心部でも、世界中で同時に行われる抗議に連帯して多数が集まった。

インド・デリーの歴史的なロディ公園では、最初は数十人だった集会がたちまち数百人に膨れ上がった。参加者のほとんどは学生や生徒で、中には「あなたは年をとって死ぬけど、私は気候変動のせいで死ぬの」というプラカードを手にした若者もいた。

海面上昇の危機にさらされるバングラデシュ・ダカでは、約3000人の子どもが議会の前で行進し、「気候が変わっているのに、どうして私たちは変われないの!」などと書かれたプラカードをもって抗議した。

ケニアの首都ナイロビでは、リサイクルされたプラスチックで作ったアクセサリーを身につけた数百人がウフル公園に集まり、市内を行進して環境省に向かった。

すでに砂漠化の影響が出ているセネガルの首都ダカール郊外では、200人以上の学生や生徒が集まり、「今こそ」というプラカードを手にして対策を求めた。

イギリスでは国内各地から高校や中学の生徒や大学生がロンドンに向かい、議会のあるウエストミンスターに次々と集まったほか、国内各地で計数百万人が抗議行動に参加した。

「投票させてもらえない、発言させてもらえない、将来をもらえない」というプラカードを手にする若い女性たちの姿もあった。

ロンドンに住むジェシカ・アフメドさん(16)は、抗議ストに参加するため校外に出ると学校にメールで連絡したという。「学校も大事だけど、私の未来も大事なので」とジェシカさんは言い、「必要な行動を政治家がして、もっと前に、世界が悪い方向に変わっているとわかった時点で行動していたら、私が学校をさぼる必要はなかったはず」と批判した。

イギリス国内ではほかにも、マンチェスター、ケンブリッジ、バーミンガム、ベルファストなどで様々な抗議行動が行われている。エジンバラでは午後1時に学生たちが「警鐘を鳴らす」ため、学校の非常ベルを鳴らした。

(英語記事 Protests for climate action spread around the planet