田中秀臣(上武大学ビジネス情報学部教授)

 小泉進次郎環境相が、国連総会の環境関連会議に先だって行われた共同記者会見に関するロイター通信の報道を、テレビ朝日が次のような見出しをつけて報じた。

「気候変動問題はセクシーに」小泉大臣が国連で演説


 またハフィントンポスト日本版も『小泉進次郎・環境相、気候変動への対策は「sexyでなければ」ニューヨークで発言』という見出しを付けている。

 小泉氏が英語で記者たちに述べた発言であり、具体的には「気候変動のような大規模な問題に取り組むには、楽しく、クールで、そしてセクシーでなければいけない」というものだった。この「セクシー」部分は、ロイターやテレビ朝日、ハフポスト日本版でも同じだが、実は隣に同席した国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)の事務局長だったコスタリカの外交官、クリスティアナ・フィゲレス氏の発言を引き取る形で述べたのである。

 もちろん、この場合の「セクシー」は性的な語感よりも、かっこいいというニュアンスで使用されている。また、テレ朝の見出しだけ見ると誤解するが、小泉氏の「セクシー」発言は、国連での演説ではなく、記者会見で出たものだ。

 ちなみに、フィゲレス氏は「環境対策をセクシー」にというのが従来の持論だ。例えば、若い人の消費スタイルについて、二酸化炭素を排出抑制する低炭素な商品や、脱炭素化社会に向けた商品などへの需要に転換することを、フィゲレス氏は主張している。

 そのライフスタイルの転換が、セクシーである方が若い人にも受け入れやすく、若い人が消費の変化を主導しやすい、というのがフィゲレス氏の持論である。フィゲレス氏の「セクシー」という言葉も「かっこいい」「イケてる」を意味する。

 ところで、「セクシー発言」で注目すべき点が二つある。一つは、小泉氏が相変わらず「かっこいいこと」は言うが「薄っぺらい」という点だ。
国連本部で開かれた環境関連会合でスピーチする小泉環境相=2019年9月、米ニューヨーク(共同)
国連本部で開かれた環境関連会合でスピーチする小泉環境相=2019年9月、米ニューヨーク(共同)
 確かにインターネットでは、上記の報道が「切り取り記事」で印象操作を伴うという指摘がある。だが、元々のロイターの記事を読むと、フィゲレス氏の発言を小泉氏が援用しようがしまいが、趣旨には関係ないことが分かる。

 要するに、気候変動対策を、セクシーでもクールでも「楽しく」でも、表現上では何とも言えるが、小泉氏は言うだけで、日本政府は積極的に気候変動問題に対処していない、ということをロイターの記事は言いたいだけだ。簡単に言えば、小泉氏の薄っぺらさ、実体の伴わない点を指摘しているのである。