2019年09月25日 11:45 公開

ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会は24日、日本が入る1次リーグA組のサモア(世界16位)とロシア(同20位)が熊谷ラグビー場(埼玉県)で対戦、後半に5トライを加えたサモアがロシアをノートライに抑えて、34-9と快勝した。

地力に勝るサモアだが、試合の入りがよくなく、前半はロシアにリードを許した。しかし、後半4分からの8分間に3トライをたたみかけ、闘志あふれるロシアを逆転。ボーナス点も獲得した。

サモアはチームとしては荒削りながら、個々の選手が速さと強さ、さらにヒットの激しさを備えている。日本は1次リーグ3戦目でサモアと対戦するが、最終4戦目のスコットランド戦を前に、大きな壁となりそうだ。

スロースタート

サモアは試合前、勇壮な戦いの儀式「シバタウ」を披露して試合に臨んだ。

しかし、この試合が大会初戦のためかスロースタート。前半はロシアが主導権を握って試合を進めた。


ロシアはラックから相手防御が及ばない深い位置でボールを回したかと思えば、裏をかいてフォワードが浅い位置で短いパスを並行につないだ。

さらに、キックで相手の背後を突くなど、組織的で重層的な攻撃を展開。しかし、決定力を欠いて得点は挙げられなかった。

ロシアがキックで逆転

試合最初の得点は、サモアのWTBアラパティ・レイウアのトライだった。タックルをかわし、ロシア陣内での連続攻撃でボールをもらうと、タックルをかわし、もう1人のタックルを受けながらインゴールに飛び込んだ。

地域獲得で優位に立っていたロシアは、SOユーリー・クシナリョフが2本のペナルティーゴールを決め、前半25分に逆転した。

サモアは前半27分にCTBレイ・リーロ、29分にはHOモトゥ・マトゥウと、2選手が続けざまにロシアのFBワシリー・アルテミエフに対して危険なハイタックルにいき、シンビン(10分間の一時的退出)処分に。前半の終盤を13人で戦うことになった。

どちらの場合も、ロシアのキャプテンでもあるアルテミエフの頭部にコンタクトしているように見えた。しかし、レフェリー(ロマン・ポワト)はアルテミエフがコンタクトの際にかがんだためで、イエローカード(シンビン)で十分と判断した。

サモアは数的不利な状況を守り切り、ロシアがわずか1点差でサモアをリードしてハーフタイムを迎えた。

不利な状況から反撃

後半、サモアはランプレーで本来の強みを取り戻して5トライを奪った一方、ベアーズ(ロシア代表チームの愛称)には体力が残っていなかった。

サモアは後半開始のキックオフから、スピードのある選手が空いたスペースを突いて前進する場面が目立つようになった。後半4分、自陣のラインアウトからの連続攻撃でNO8アファエセティティ・アモサがトライを奪い、再逆転した。

ロシアはこのトライの時に、PRキリル・ゴトフツェフがシンビンとなり14人になった。不利な状況で点差を広げられることが予想されたが、逆に後半7分、クシナリョフがドロップゴールを決め、9-10と追い上げた。

だが、健闘もここまでだった。

サモアはWTBエド・フィドウが4分間に2トライを挙げ、試合の流れをロシアから完全に奪った。

一気に前進

サモアは後半22分、リーロがトライを加えた。さらに終了間際には、レイウアがこの試合2つ目のトライを奪って、試合を締めくくった。

ディフェンスでも、なんとか1トライをと狙うロシアの攻撃を最後まで抑え込んだ。

サモアはボールの保持率、地域の獲得率ともに約4対6とロシアに劣りながら、ボールを持って前進した距離は511メートルとロシアの247メートルの倍以上を記録した。

ラックやモールの数はロシアの109に対して67と少なく、一方で相手ディフェンスラインを突破した回数は11とロシアの3を大きく上回った。

個々の能力が高い選手がボールを持ったら、タックルされてすぐラックをつくるのではなく、一気に大きく前進するプレーが多かったことを、数字が示している。

<関連記事>

「試合間隔の短かさが影響」

試合後のインタビューで、サモアのスティーブ・ジャクソン監督は、「2選手を(シンビン処分でピッチ上から)失ったが、13人になっても点は失わなかった。(チームが守りで見せた)努力を誇りに思う」と選手を称賛。

「選手たちはまだ元気だったので、後半には盛り返せるとわかっていた。ちゃんと勝ち切れたことを喜んでいる」と話した。

一方、ロシアのリン・ジョウンズ監督は、「とても残念な結果だ。試合でのパフォーマンスは、自分たちが求めていたものではなかった。短い試合間隔が戦術的にも精神的にも影響した」と振り返った。

さらに、「日本戦と同じ戦術で戦えると考えたが、この試合では機能しなかった。準備にかける時間がもっと必要だった」、「(短い試合間隔の影響は)身体的な疲弊ではなく精神的なものだ。自分たちのプレーが出せなかった」と付け加えた。

サモアがA組首位に

サモアは得失点差でアイルランドと日本をわずかに上回り、A組のトップに立った。

サモアは30日に神戸市御崎公園球技場でスコットランドと極めて大事な一戦を戦う。ロシアは10月3日に同じ会場でアイルランドと対戦する。

この試合の最優秀選手:アラパティ・レイウア(サモア)

この試合の最優秀選手には、試合の最初と最後にトライを挙げたサモアのWTBレイウアが選ばれた。

(英語関連記事 Samoa recover from slow start to beat Russia