2019年09月25日 15:41 公開

アマゾン熱帯雨林の火災を懸念する声が世界的に広がるなか、ブラジルのジャイル・ボルソナロ大統領は24日、国連総会で演説し、熱帯雨林の大部分を占める同国領土内で発生している事態は国内問題だと強調した。

アマゾン川流域の世界最大の森林では、広い範囲で火災が続いている。NASA(米航空宇宙局)などによると、今年に入ってから森林火災の件数が急増している。

環境保護団体などは、農業や林業のために木々が焼き払われ、森林破壊が進行していると主張。ボルソナロ氏について、昨年10月の大統領選で勝利して以来、森林開発を奨励していると非難している。

「誤った考え」

この日、演壇に立ったボルソナロ大統領は挑戦的だった。

アマゾン熱帯雨林が「人類の遺産」や「地球の肺」と表現されているのは「誤った考えだ」と主張。外国メディアが事態をセンセーショナルに伝えていると訴えた。

さらに、「誤信を利用し、誤信に頼ることで、特定の国々は支援するのではなく(中略)植民地主義的な精神で、無礼に振る舞っている」と演説。

「それらの国は、私たちが最も神聖なものとして価値を置く『主権』にまで口を挟んだ」と述べた。

保護区の存続を疑問視

ボルソナロ氏は、熱帯雨林の先住民に関する自らの政策についても正当性を強調した。

ブラジルでは、憲法で規定されている450の保護区に、計80万人を超す先住民が暮らしている。外部との接触を一切もたずに生活している人たちもいる。

保護区のほとんどはアマゾン熱帯雨林にあり、合計面積は国土の約12%を占める。ボルソナロ氏は今年1月に大統領に就任して以来、保護区の人口と面積が不均衡だとし、存続を疑問視する発言をたびたびしている。

ボルソナロ氏はこの日の演説で、先住民政策は国民の多くに支持されていると説明。

「ブラジル内外の人たちは(中略)まるで私たちの国の先住民が洞穴で暮らす人であるかのように、処遇し保護するよう主張している」と述べた。


ボルソナロ大統領に抗議

ボルソナロ氏が掲げている、鉱業、林業、農業での利用を目的とした森林開発計画をめぐっては、国外でも反対の声が上がっている。

同氏が国連総会出席のために米ニューヨークに到着した際には、抗議を示す人たちもいた。

演説の前日には、スウェーデン人の環境保護活動家グレタ・トゥーンベリさんが国連気候行動サミットで演説。「永遠の経済成長なんていう、おとぎ話」ばかりし、気候変動に十分に取り組んでいないとして、各国首脳を厳しい言葉で非難した。

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「危機の中心」上空からの眺め――ウィル・グラント、BBC南アメリカ特派員

アマゾン熱帯雨林危機の中心地とされるブラジル北部パラ州の上空を、小型飛行機で飛んだ。

人間が熱帯雨林に及ぼしているさまざまなプレッシャーとストレスの広がりが、はっきりと見えた。

違法な金の採掘で森林が広範囲に切り開かれていた。水銀で汚染された大量の排水が流れる様は、まるで川のようだった。汚染水はやがて、アマゾンの水路と環境システムに染み渡っていく。

採掘だけではない。私たちが訪れた部分だけでも、わずか4日間にサッカー場1600個分の森林が火災で消滅していた。

アマゾン川流域の街アウテル・ド・ションでは、森林保護を強化すべきだとする人と、仕事を生み出す開発が必要だと主張する人の間で、意見が二分していた。

しかし、私が会った誰もが、アマゾン熱帯雨林は生きて呼吸をしている資源であり、尊重されるべきだという点で一致していた。火災、採掘、大規模農業は害悪でしかないという点でも。

(英語記事 Rainforest belongs to us, says Brazil's leader