谷本真由美(コンサルタント兼著述家)

 ここ2~3年ほどの間、日本では40代もしくは50代の子供が70代や80代の親と同居し、親の年金や収入に頼る「8050(7040)問題」や、就職氷河期に正社員になれず、40代、50代の現在もフリーターや非正規雇用の社員として厳しい生活を送っている「ロスジェネ問題」が話題になるようになりました。

 団塊やそのちょっと上の世代の80代の親たちが、高齢化して病気がちになったり、要介護になったり、亡くなる例が増えてきた、また、子供たち世代が若いとは言えない中年世代になり、将来の先き行きに不安を実感するようになったのが原因でしょう。

 かくいう私も大学を出たのが1998年で、就職氷河期ど真ん中世代であります。

 同級生の大半は公務員になったり、インフラ系企業に就職、もしくは学生時代のアルバイトの延長からマスコミ系企業の社員になる、当時盛り上がりつつあったネット業界で働き始めるという感じです。

 ほとんどが正社員で採用されてはいるのですが、その後会社が傾いて格下の企業に転職したり、かなり厳しい業績目標にさらされてヒーヒー言っているなど、数年前の世代や、今の20代に比べると不利な条件で働いているという状況であります。しかし、仕事があるだけでもありがたいのですが。

 私の場合は大卒後アメリカの院に進学して、新卒ではありましたが、中途採用みたいな感じでネット業界に入って日本と海外を巡回しておりますので、ロスジェネの典型的な就職パターンとはかなり違う道を歩んでおります。

 しかし、私も同級生たちも、ここ5年ぐらいの間に親が亡くなったり、要介護になったり、体調が悪化したり、自身も血圧や血糖値が上がって老いを感じるようになったりと、時の流れを考えてしまう年齢になり、さらに子供と親の介護費用の板挟みで、自分の老後はどうなるのかと不安だらけであるので、ロスジェネ的な悩みにどっぷりであります。

 さらに気になりますのが、ここ最近日本で起きている凄惨(せいさん)な事件の容疑者が、40~50代で、まさに自分と同じロスジェネ世代であることです。

 例えば川崎20人殺傷の岩崎隆一容疑者(51)=被疑者死亡のまま書類送検、京都アニメーション放火事件の青葉真司容疑者(41)、あおり運転・暴行の宮崎文夫容疑者(43)などです。
※写真はイメージです(GettyImages)
※写真はイメージです(GettyImages)
 これらの事件の原因を、彼らがロスジェネ世代で就職できなかったからだ、社会の先行きが見えないからだという陳腐で型通りの批判で済まそうとは思いません。しかし、こういった事件の容疑者が男性で、引きこもりや周囲とのトラブルがあり、現状や将来への不安により精神が不安定になったという要素もないとは言えないでしょう。

 しかし、ロスジェネと申しましても、男性も女性も同じような悩みを抱えております。