2019年10月02日 16:09 公開

米ハーヴァード大学がアジア系の受験生を差別しているとして提訴されていた問題で、連邦地方裁判所は1日、原告の訴えを退けた。

原告の「Students For Fair Admissions (SFFA、公正な受験を目指す学生団体)」は、同大学が入学選考においてアジア系より黒人やヒスパニック系を優遇していると主張していた。

しかし、アリソン・D・バーローズ判事は、「非常に優れた」入学選考プログラムを裁判所が廃止することはないと述べ、この訴えを退けた。

米トップ大学のひとつであるハーヴァード大学は毎年、4万2000人が受験するが、合格者はわずか1600人ほどだ。

原告はアファーマティブ・アクションに反対

SFFAは保守系の活動家エドワード・ブラム氏が結成した団体で、アファーマティブ・アクション(差別を是正するため歴史的に冷遇されてきた少数派に積極的に機会を保証する措置)に反対している。

SFFAは、ハーヴァード大が連邦法で禁止されている「人種的バランス」を取るため、割り当て制度を導入し、アジア系アメリカ人にだけ高い合格ラインを設定することで、他の人種の受験生を合格させていると主張。

もし人種を考慮せず点数だけで選考を行えば、アジア系の学生は現在の2倍になるだろうと指摘している。

米紙ニューヨーク・タイムズによると、SFFAは過去に、白人の学生が冷遇されているとして、アファーマティブ・アクションそのものに反対する裁判を起こしている。

「アジア系増えている」

これに対しハーヴァード大は、選考では「全体論的な」戦略を使っており、人種は比較的重要ではない考慮点のひとつに過ぎないと説明した。

また、アジア系の学生数は増えていると指摘。現在は全学生数の23%がアジア系だという。

この裁判は、アファーマティブ・アクションの是非を問う重要な判例になるとして、アメリカ全土から注目を集めていた。アイヴィー・リーグの他大学やアメリカ自由人権協会(ACLU)は、この件についてハーヴァード大学を支持している。

判決は?

バーローズ判事は、「憲法に適った非常に優れた選考プログラムを、もっと改善できるという理由だけで裁判所が廃止することはない」と、原告の訴えを退けた。

また、「多様性は寛容さ、受け入れる心、理解する心を育て、究極的には人種を考慮した選考を時代遅れのものにする」と述べた。

一方で、ハーヴァード大の選考基準は「完璧ではない」と指摘し、選考員の無意識の偏見を取り除く措置などを取るべきだと話した。

SFFAは上訴するとみられており、この案件は最高裁まで到達する可能性がある。

(英語記事 Harvard 'biased against Asian-Americans'