2019年10月07日 13:03 公開

反政府デモが続く香港で6日に行われたデモ行進は、政府機関や鉄道の駅、中国本土と結びつきのある企業が襲撃されるなど、暴力行為が続いた。

5日午前0時に、デモ参加者のマスクや覆面の着用を禁止する「覆面禁止法」が発効されたが、数万人のデモ隊はこの日も、雨の中マスクをつけて抗議した。

報道によると、警察は放水砲や催涙ガス、警棒を使って複数のデモ参加者を逮捕し、つけていたマスクを外させた。この衝突で多数が負傷したという。

林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は6日、「暴徒にこれ以上、我々の大切な香港の破壊させることはできない」と述べ、暴力拡大を阻止すると約束した。

「覆面禁止法」をめぐっては、表現や抗議の自由を否定するもので違憲だと民主派議員たちが主張した。しかし高等法院は6日、差し止め請求を退けた。

6日のデモで何があったのか

香港で取材するBBCのロビン・ブラント記者によると、デモ隊は「覆面禁止法」を徹底的に無視することを目的にしており、参加者のほとんどは顔を覆っていたという。

警察は当初、デモ隊が「香港は抵抗せよ」と声を上げながら、香港市内を平和的に行進する様子を静観していた。しかし数時間後には混乱を沈める事態となった。

警察は歩道橋の上から抗議者の集団に向けて催涙弾を放った。ブラント記者によると、混乱悪化が予想されることから、6日夜には多くの店が通常よりも早く閉店した。

4日の暴動をきっかけに行われた5日の小規模な行進よりも、更に大勢が6日の行進に加わった。

「私たちが自由のために戦うチャンスがあと何回あるのかは分からない」と、外科手術用マスクをつけたヘイゼル・チャンさん(18)は、封鎖されているロドニー・ストリート(楽礼街)近くでBBCの取材に応じた。

「香港政府の姿勢に大きな影響を及ぼすとは思わないけど、国際的な注目を集めて、私たちがこの悪意のある条例を受け入れることはないと、世界に示せたらいいと思う」

デモ参加者のライリー・ファンさん(19)は、「何百万人が参加しても、政府は私たちの要求を無視しているので、抗議行動の影響について、自信はあまりない」としつつ、自分の考えを表すために抗議は続けると話した。

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当局の対応は

林鄭行政長官は4日、「覆面禁止法」制定を発表した。植民地時代の緊急状況規則条例(緊急条例)を発動したもの。

林鄭氏は、暴力が「香港の街を破壊」し、香港の治安を脅かしていると主張。当局は「悪化し続ける状況を放っておくことはできない」と述べた。

「覆面禁止法」をめぐっては、民主派議員が、表現や抗議の自由を否定するもので違憲だと主張。しかし高等法院は6日、差し止め請求を退けた。

実弾で負傷

今月1日には、6月のデモ開始以降で初めて警察が実弾を発砲し、高校2年の男子生徒が負傷した。少年は警官を襲っていたとされる。4日にも14歳の少年が脚に実弾を受けて負傷した。

香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、同地域ではその後、覆面パトカーに乗った私服警察官が襲撃されたが、当局は2つの事件との関連性はないと説明している。

鉄道閉鎖も

デモ隊の破壊行為により4日に閉鎖された鉄道は、6日に一部運航が再開された。

BBC香港のヘリエ・チュン記者は、香港市内の銅鑼湾の路上を占拠する、マスク姿のデモ隊の写真をツイートした。

https://twitter.com/HelierCheung/status/1180733889876234240


デモ隊は、中国政府による香港統治が迫り、高度な自治性が維持されなくなるのではないかと懸念している。


<解説>雨の中の抵抗――ヘリエ・チュン、BBCニュース、香港

雨が降りしきるにもかかわらず、挑戦的な雰囲気だった。

多数の抗議者が、緊急条例の「覆面禁止法」発効後もマスクをつけ、市内の道路を占拠し、無許可のデモ行進に加わった。そして、広東語と英語で「香港は抵抗せよ」「香港を支持する」といったスローガンを叫んだ。

デモ隊が緊急条例への明らかな抵抗を示す一方で、行進開始直後の数時間は、警察の姿をほとんど見ることはなかった。参加者は道路を封鎖し、レンガをかき集め、政府を非難する横断幕を高架に結びつけた。

すると、どこからともなく複数の催涙弾が打ち込まれた。突然、数十もの警察の車列が現れたことで、緊張がより激しさを増した。デモ隊は「放水砲が来るぞ」と叫び、通りを走り出した。1時間ほどで、道路の封鎖は解除され、デモ隊はたちまち姿を消した。


(英語記事 Hong Kong protest march descends into violence