他にも課題は山積している。東電が近年、送配電設備への投資を大幅に減らしていると報じられた。東電に限らず全国の大手電力会社では、来年から発電と送配電が別会社となる。

 送配電設備は道路と同じで、市場原理とは馴染(なじ)みにくい、基本的なインフラである。今後は、送配電に必要な投資が継続して行われるよう、公的な監視の強化が望まれる。

 千葉県の杉の4分の1を占める特産の「山武杉」に、幹が腐って空洞となる病気が流行(はや)っていて、中折れした幹が電線に引っかかった例が多いという報道もあった。電力会社の努力も望まれるが、森林経営管理法によって所有者に伐採を命じられるようになった自治体の努力も求められる。

 携帯電話の基地局の電源が失われ、通信が途絶したことも、被害状況の把握や復旧への障害となった。東日本大震災のとき、私たちは現地に支援に入ったが、通信途絶に大いに困った記憶がある。

 令和防災研究所では、現地からの個別情報を研究所のホームページに掲載し、支援する側のために役立たせようと計画している。だが、基地局の非常電源が充実しなければ、この計画はなかなか実現しない。

 今年の台風15号による甚大な被害を受けたのは、千葉だけではない。東京の島々でも屋根が飛んだり、農業用ハウスのビニールが飛んだりするといった被害が多かった。家屋の損壊戸数も1千戸を超えるという。これは2000年に噴火と地震が頻発したときより大きい数である。
倒れた千葉県君津市にある送電線の鉄塔=2019年9月9日(共同通信社ヘリから)
倒れた千葉県君津市にある送電線の鉄塔=2019年9月9日(共同通信社ヘリから)
 そこで私は、東京都の被害把握が不十分ではないかと批判しようと、都庁に電話してみた。すると、知事が既に厳重注意し、知事も都議会議員も現地を回るという返事を聞いて、批判を抑えることにした。

 こういう場合は何はともあれ、自治体のトップには先頭に立って現地に立つことが求められる。防災服を着て役所の中で会議し、国に要請に行くだけではなく、政府高官を現地に迎えた方がいい。災害対策を行うには、現地の生活実感に基づくことが必要なのである。