
2019年10月09日 11:38 公開
ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会は8日、1次リーグB組の試合が神戸市御崎公園球技場であり、南アフリカ(世界5位)が66-7でカナダ(同22位)に大勝し、7大会連続の決勝トーナメント進出を決めた。
これで南アフリカは1次リーグ4試合を3勝1敗で終え、勝ち点15とした。B組は2位ニュージーランドと3位イタリアが12日に、ベスト8入りをかけて直接対決する。南アフリカはその結果にかかわらず、B組で2位以内に入る。
一方、カナダは3連敗となり、1次リーグ敗退が決まった。
圧巻の攻撃力
試合前から南アフリカの圧勝を予想する声が大半を占めたが、結果はそのとおりになった。南アフリカは前半だけで7トライ、合計では10トライを奪う一方、カナダを1トライに抑えた。
キックオフの直後から、南アフリカは圧巻の攻撃力を発揮した。
試合開始早々、南アフリカは敵のゴールポストの目前まで迫り、フォワード陣が密集から縦方向への突破でトライを狙った。
カナダが必死のディフェンスで対応すると、右サイドへボールを回し、今度はバックス陣が攻撃を展開。タイミング良く走り込んできたSOエルトン・ヤンチースを経由して、CTBダミアン・デアレンデにパスが渡った。デアレンデはインゴールへ走り込み、開始2分で初のトライを奪った。
10分でハットトリック
南アフリカは続く前半5分にも、WTBスブシソ・ヌコシが相手を振り切りトライ。
するとここから、SHコブス・ライナックの独壇場が訪れた。
まず前半10分、ライナックは相手ディフェンスのギャップを突いて一気に抜け出し、ショートパントを相手の裏に蹴り出すと、自らボールを回収してインゴールの左にトライ。高いスプリント能力とテクニック、そしてセンスを見せつけた。
前半17分にもライナックが、ゴールライン間際で密集から出たボールをパスすると見せかけ、インゴールへ直接飛び込んだ。
さらに前半20分、またもライナックが今大会屈指の美しいコンビプレーを見せてトライ。わずか10分25秒でハットトリックを達成した。
レッドカードで14人に
南アフリカは、なおも攻撃の手を緩めず、ハーフタイムまでにさらに2つのトライを追加。前半だけで、5人の選手が計7つのトライをもたらした。
対象的にカナダは、苦境に追い込まれた。
前半30分過ぎには南アフリカのゴール寸前まで迫ったものの、交代出場したLOジョシュ・ラーセンが密集で危険なショルダーチャージを見舞い、レッドカードを受け退場。
以降、強豪相手に1人少ない状態で戦わざるを得なくなった。
カナダにとってはこれまでのW杯を通算して4つ目のレッドカード。他のどのチームよりも多い。
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待望の初トライ
後半、苦しいはずのカナダが思いもかけぬ展開を見せた。体を張って辛抱強くボールをつなぎ、攻勢に出たのである。
カナダは後半6分、ゴールライン手前で右のラインアウトからモールを作り、WTBジェフ・ハスラーが縦方向に一気に突破を試みた。
これはトライに至らなかったものの、密集から出たボールを持って、FLマット・ヒートンが果敢に頭からダイブ。カナダ待望の初トライが生まれた。
SOピーター・ネルソンがコンバージョンキックを決め、カナダは7点を返した。
10トライを奪う
しかし、勝負の大勢は決していた。
この後、個の能力だけでなく、コンビネーションプレーでも上回る南アフリカは、後半14分にはHOスカルク・ブリッツ、25分にはFBダミアン・ウィレムス、そして32分には交代出場したPRフランス・マルヘルベが、代わる代わるトライを奪った。
前半ほどハイペースで得点は生まれなかったものの、南アフリカは最終的に10トライを挙げて完勝した。
カナダも最後まで健闘した。14人で懸命にプレーを続け、大差がついても試合をさほど大味なものにはしなかった。
「日本も一流」
決勝トーナメント進出を決めた南アフリカのヨハン・エラスムス監督は試合後、「他のチームと同様、私たちにも勝機は大いにあるが、この大会にはいいチームが多い」と今後を展望。
「日本は一流の試合を見せているし、アイルランドとスコットランドもそうだ。この先数週間はタフな相手との戦いになる」と話した。