上さんが指摘するとおり、日本における医学部受験で合格を手にする学生のほとんどが、塾に通い続け、進学校に籍を置く“受験エリート”だ。おおたさんは現状をこう述べる。

「長引く不況と先行き不透明な世の中を嫌い、『大学ブランドよりも手に職』という志向が高まりました。その最たるものが医学部を目指す若者の増加です。今では“東大より医学部”といわれるほど。

 かつては東大の理系学部に進学していた受験生が、地方国公立大の医学部を目指すようになり、“イス取りゲーム”は激化を極めている。つまりどれだけ医師になりたいという気持ちが強くても、偏差値が高くなければ国公立の医学部には入れなくなりました。そのうえ、私大医学部は6年間で2000万~4500万円の学費がかかるとされ、一般的なサラリーマン家庭ではとうてい子供を通わせることはできません」

 海外の大学入試が完全に実力勝負であり、どこの大学を出たか、その名前によってヒエラルキーが決まる“学校歴”の格差がないという点も今の若者に評判がいい。

「折しも東京医科大の入試で“女子切り”が発覚するなど、日本の医学部入試は不公平であることに学生は気づきました。それならば実力勝負ができて、女性の医師も多い東欧に渡って医師を目指そうという若者は、今後さらに増えるはずです」(上さん)

 医学部に限った話ではない。

 近著に『0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる 学ぶ人と育てる人のための教科書』(小学館)があり、大学准教授、メディアアーティストなど多方面で活躍する落合陽一さん(31才)も「この先、日本の学歴社会は崩壊する」と予言する。
ドナウ川沿いにあるブダペスト工科経済大学(ゲッティイメージズ)
ドナウ川沿いにあるブダペスト工科経済大学(ゲッティイメージズ)
「日本では、最も難しい入学試験を突破した東大卒の人が、学歴のヒエラルキーにおいてトップに立つイメージがありますが、国際的には東大の学士卒の人よりも明治大学卒で博士号を取得している人の方が国際社会での研究ブランディング的には評価されます。

 学歴的には最終学歴が高い後者の方が上なのは当然のことでしょう。これまで日本では勘違いされがちでしたが、最近の風潮を見ても、こうした誤解はおそらくこの十数年に是正されると思います」

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