2019年10月10日 13:26 公開

アメリカの電力会社パフィシック・ガス・アンド・エレクトリック(PG&E)は9日、山火事を防ぐためにカリフォルニア州北部で計画停電を開始した。

対象となるのはこの地域の80万世帯や企業など。サンフランシスコ市は影響を受けないものの、沿岸の広い地域で停電となり、住民の怒りを買っている。

カリフォルニアでは昨年、PG&Eの送電線からの発火が原因で山火事が発生し、同州史上最悪の被害が出た。PG&Eは、計画停電は数日間は続く見込みと発表した。

現在、カリフォルニアには強風の予報が出ており、計画停電は送電線が落下して山火事の原因となるリスクを防ぐために行われる。

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サンノゼの緊急管理局のレイ・リオーダン局長は8日、「条件はそろっている。乾いた燃料、強風、温暖な気候。どんな火花でも甚大な山火事になる可能性がある」と説明した。

アメリカ国立気象局は、10日までサンタ・クルーズ山地やノースベイ、イーストベイといった地域に、山火事の危険性を示す「レッドフラグ警報」を発令。現在の気象条件では「沖合いからの風が、2017年10月のノースベイでの山火事以来の強さになる」可能性があると警告した。

PG&Eは9日朝までに、契約者約50万件が停電になっていると発表。正午までにさらに20万件が停電になる予定だったが、気象条件の変化を受けて、停電開始を遅らせた。

カリフォルニア州北部では昨年11月、猛威を振るった山火事「キャンプ・ファイア」によって15万世帯が消失、86人が死亡した。その後の調査によって、PG&Eが設備の保守点検を怠ったことが、山火事の原因になったことが明らかになった。

PG&Eは2017年の山火事についても責任を問われており、この山火事被害の裁判で今年1月に破産している。PG&Eはカリフォルニア北部にガスや電力を供給する唯一の会社で、消費者のほとんどは同社以外に電力供給源がない状態だ。

住民からは怒りの声が

PG&Eはここ1年にわたって何度か計画停電を実施してきたが、この規模のものは今回が初めて。

カリフォルニア州のギャヴィン・ニューソム知事は、「誰も(計画停電を)喜んでいない。しかし数カ月前から起きるだろうと分かっていたことに対して、PG&Eがやっと重い腰をあげ、住民の安全を守る責任を負おうとしている」と述べた。

今回の計画停電では、カリフォルニア州内の郡のおよそ半分が影響を受ける。ワインで有名なナパ、ソノマといったサンフランシスコ沿岸地域や、アップルの本社があるクパチーノといった南部の郡も含まれる。

地元の小売店には、停電に備えて備蓄品を買う人たちが押し寄せているという。

オークランド市のリビー・シャーフ市長は、「電気なしで5日間過ごすというのは非常につらい」と話す一方、「しかしそれが最悪のシナリオだと想定している。初めて経験することなので」と述べた。

しかし、停電の情報を提供しているウェブサイトは、利用者が多くなかなか開けない状況だ。多くの住民が、PG&Eのソーシャルメディアのアカウント宛に不満をぶつけている。

カリフォルニアに住むジャーナリストのダン・パルクラーノさんは、地元の小売店の「発電機は売り切れ」という貼り紙の写真をツイッターに投稿。「世界的な電子機器産業の誕生の地シリコン・バレーでは、PG&Eの時代遅れの電線と計画停電のせいで発電機が売り切れている」とコメントした。

https://twitter.com/pulcrano/status/1181718168177299456


また、対象地域の学校は生徒に対し、9日は家にいるよう指示。その後についても追って連絡するとしている。

住民の間に不満が広がる中、気象学者のマイク・ペクナー氏はCBSの取材で、計画停電にはきちんとした理由があると説明した。

「計画停電は過剰な反応ではない。強風が吹けば、電線はもちろん前後に揺れる。接触すれば発火する」

「これは垂れ下がった電線と強風による火事を防ぐための停電だ」

PG&Eは、対象地域の28カ所のコミュニティーセンターで、日中に「トイレや飲料水、電子機器の充電設備」を提供するとしている。

(英語記事 Mass power cut in California to prevent wildfires