この海水温の上昇が、人為的に増加したCO2と結びつくかどうかは、そもそもよく分かっていない。日本付近の海水温の上昇は、エルニーニョ現象の終了でも説明は可能だ。気候変動は様々なスケールでとらえることができる。たとえば、更新世から完新世に氷河期と温暖期が何度も繰り返していることが分かっている。それによれば、約2万年前は最終氷河期、そして現在は温暖期にあたる。

 また、1万2700~1万800年前は、氷期末亜間氷期(アレレード期)と呼ばれる温暖期で、1万800~9600年前は氷期末亜氷期(ヤンガードリアス期)と呼ばれる寒冷期だった。そしてその後、温暖期となる。しかし、温暖期のピークは約7400年前ごろであり、現在は少しずつではあるが寒冷化しつつある。

 そして、最近2千年間にも気候の変動が見られる。2世紀ごろはやや寒冷、西暦600年ごろはやや温暖、700年ごろは寒冷期、750年ごろから1300年ごろまでは温暖期(ヨーロッパでは中世温暖期と呼ばれている)である。

 しかし、1300年ごろから寒冷化が始まり、1500年ごろまで断続的に続く。日本の戦国時代は、気候の寒冷化により食料が獲れないことから始まったとみることができる。そして、一時的な短い温暖期をはさみ、1600年ごろから小氷期と呼ばれる時期に入り、それは1850年ごろまで続く。それ以降、気候は温暖化する。明治時代の初めに目盛りのついた温度計が発明されたが、「観測史上」と呼ばれるのは最近150年ほどのことである。

 さらにくわしく見ると、太陽黒点の増減から、1650年ごろから1700年ごろまでに太陽活動が衰退する「マウンダー極小期」や、1800年ごろの「ダルトン極小期」の存在が明らかになっている。そして1750年ごろ以降は、約11年周期で太陽活動の盛衰が繰り返し起き、現在はその24周期目で、2019年は再び太陽活動の衰退期にあたっている。

 また、火山の大規模な噴火も気候に影響する。たとえば、フィリピンのルソン島西部にあるピナツボ火山は1991年に大噴火した。そして噴出した火山は1万メートルを越え、成層圏まで到達し地球を覆い、太陽の光をさえぎるパラソル効果をもたらした。ピナツボ火山の噴火後、波長の短い青い太陽光線が地上に到達しなくなり、数年にわたり見事な朝焼けや夕焼けが見られた。波長の長い赤い光線が地上に到達したのである。

 そして、1993年に日本でも夏の気温が上がらず、コメの大不作が生じて外国からのコメの緊急輸入が行われたのである。現在、カムチャッカ半島や千島列島のシベルチ山などが大噴火しており、フィリピンやニューギニア、あるいは、メキシコでも火山の大噴火が続いている。これらが数年後に気候に影響する可能性がある。

 このように、気候変動は地球のタイムスケールによって様々にとらえられるし、いろいろな要素が組み合わさって決まる。冒頭で触れたように、グレタさんが考えているほど単純なものではないのだ。
台風15号の影響で出た大量のがれきやごみを片付ける住民やボランティア=2019年9月、千葉県鋸南町(鴨川一也撮影)
台風15号の影響で出た大量のがれきやごみを片付ける住民やボランティア=2019年9月、千葉県鋸南町(鴨川一也撮影)
 彼女はアスペルガー症候群を公表しており、他人を疑うことが苦手で、嘘をつくことも苦手なのだろう。他人の言説をそのまま信じて、発言したり行動したりしている可能性がある。CO2の排出規制による化石燃料を用いた発電を抑えることは、1970年代に「クリーンエネルギー」と盛んに宣伝された原子力発電の推進に利用されかねない。このことをグレタさんは理解しているのだろうか。