2019年10月22日 17:54 公開

21日に投開票されたカナダ連邦下院議会選挙(定数338)で、与党・自由党が156議席を獲得する見通しで、ジャスティン・トルドー首相(47)の続投が確実となった。ただし、単独過半数には14議席及ばないことから、連立政権が誕生することとなる。

中道右派・保守党は121議席(95増)となる見通し。

自由党はカナダ大西洋州(ニューブランズウィック州、プリンスエドワードアイランド州、ノバ・スコシア州、ニューファンドランド・ラブラドール州)のほか、同国で最も人口が多いオンタリオ州で勝利した。一方の保守党とNDPは同国東部で支持を得た。

西部の大平原カナディアン・プレイリーズ地域では、ラルフ・ゴデール公共安全・緊急事態準備相(サスカチュワン州レジャイナ選出)をはじめ多くの自由党議員が落選した。

この開票結果によって、ジャグメート・シン党首(40)率いる左派の新民主党(NDP)が、次期トルドー政権に大きな影響力を持つ可能性が出てきた。シン氏は、カナダ初のマイノリティー(人種的少数派)党首。

少数与党政権はカナダでは珍しいことではない。過去15年間で3度も少数与党政権が誕生した。

一方で連立政権は珍しい。直近では2008年に自由党とNDPが連立を目指したものの、当時のスティーヴン・ハーパー首相が議会を閉会したため、連立は解消された。

勝利演説

モントリオールで支持者を前に、「みなさん、よくやった。おめでとう!」とトルドー氏は呼びかけた。

「私たちのことを信頼し、この国を正しい方向へ導くよう、私たちに任せてくれてありがとう」

他政党の支持者に対しては、自由党はすべての国民のために努めると約束した。

スキャンダルによって汚点がついた、浮き沈みの激しい1期目を耐えたトルドー首相にとって、今回の総選挙は国民投票そのものだった。

自由党が議席を大幅に減らしたのは、トルドー首相への非難の表れとみられている。

結果に最も落胆するのは、有権者の暮らしや財政に直結する政策を掲げていた保守党のアンドリュー・シェア党首だろう。同性婚や人工妊娠中絶に反対の姿勢を示してきたシェア氏は、厳しい評価をつきつけられた。

トルドー氏の人気低下の理由

4年前の2015年、トルドー氏は「真の変革」と多くの進歩的な公約を掲げ、圧勝して権力を握った。

今回は、続投するだけの力量があるのかと、厳しい批判にさらされてきた。

環境政策をめぐっては、トランスマウンテン石油パイプラインの拡張計画の承認したことで、批判を浴びた。また、選挙制度の徹底的な見直しは取りやめとなり、代替投票制度に期待していた一部の左派有権者の怒りを買った。

それでも、20数人のカナダ人学者による独立評価によると、トルドー氏は公約の92%を全面的または部分的に実現しており、これは過去35年間の同国のあらゆる政権の中で最も大きい割合だという。

カナダのエンジニアリング・建設大手SNCラヴァランの汚職に対する司法介入疑惑をめぐっては、今年1月まで法相兼司法長官を務めていたウィルソン=レイボールド氏が、SNCラヴァランに起訴猶予合意を適用させようとする圧力を受けたと証言し、大きな代償を払うこととなった。

今年9月には、肌の色の濃さを誇張する「ブラウンフェイス」の化粧をしていた学生時代の写真が報じられ、釈明に追われた。

(英語記事 Trudeau retains power in Canada but loses majority