意味不明な記事をもとにして、今度は国会でさらに意味不明な事件が起きた。10月15日の参院予算委員会で、森裕子参院議員の「(原氏が)国家公務員だったら斡旋(あっせん)利得、収賄で刑罰を受ける(行為をした)」との発言をめぐる問題である。

 森氏は毎日新聞の記事をベースにして言及したのだろう。もちろん、そんな「斡旋利得、収賄」にあたるような事実は全くない。ないものは証明もできない。これは原氏に正当性がある。

 他方で、毎日新聞の裁判でのへりくつ(と筆者には思える)でも、やはりそのような事実は原氏についてはない。つまり原氏、毎日新聞双方の言い分でも、森氏が国会で指摘したような事実を裏付けるものはないのだ。このような発言は、まさに言葉の正しい意味での「冤罪(えんざい)」だろう。

 国会議員は憲法51条に定められているように、国会における発言で免責の特権を有している。そうならば、なおさら国会議員は、民間人の名誉を損なうことのないように慎重な発言をすべきだ。

 もちろん、原氏をはじめ、森氏の発言を知った多くの人たちは憤りとともに森氏を批判した。だが、森氏から反省の弁は全くない。真に憂慮する事態だとはいえないだろうか。

 筆者は多くの知人たちとともに、今回の森氏の発言とその後の「自省のなさ」に異議を唱えたい。既に具体的な活動も始まっている。参加するかしないかは読者の賢明な判断に任せるが、筆者が積極的に参加したことをお知らせしたい。

 問題は、原氏個人の名誉の問題だけにとどまらない。WGの八田達夫座長らが指摘しているように、毎日新聞では(他のメディアや識者でもそのような発想があるが)、WG委員が特定の提案者に助言することが「利益相反」に当たるとか、あるいはWGの一部会合が「隠蔽(いんぺい)」されたとする報道姿勢にある。
首相官邸で開かれた国家戦略特区諮問会議=2019年9月30日
首相官邸で開かれた国家戦略特区諮問会議=2019年9月30日
 これは先述したバイアスに基づくものか、無知に基づくものか、いずれかは判然とはしない。しかし、無知であれば、WG委員が提案者に助言したりすることはむしろ職務であることを理解すべきだろう。さらには、会合の一部情報を公開しないのは隠蔽ではなく、提案者を既得権者からの妨害などから守ることでもあると学んだ方がいいと思う。

 要するに、無知ならば、まず無知を正すことから始めるべきだ。ただ、毎日新聞は戦前から不況期に緊縮政策を唱えるような反経済学的な論調を採用したことがあり、今もその文化的遺伝子は健在だといえる。

 その意味で、実は反市場バイアス、反経済学バイアスが記者の文化的土壌に深く根付いている可能性もある。そうであれば、組織内から変化する可能性は乏しいと言わざるを得ない。