2019年10月24日 12:29 公開

アメリカのドナルド・トランプ大統領は23日、テレビ演説を行い、シリア北部に軍事進攻したトルコに対して発動した経済制裁について、「我々が喜べないようなことが起きない限り」解除すると発表した。

トルコのレジェプ・タイイップ・エルドアン大統領と、シリアに影響力をもつロシアのウラジーミル・プーチン大統領は22日、シリア北部のトルコとの国境付近からクルド人武装勢力を遠ざけ、「安全地帯」を設置することで合意。トルコはさらなる軍事作戦の必要はなくなったと表明していた。

この合意について、トランプ大統領は「大きな成果」だと歓迎した。

トランプ氏は、「我々が喜べないようなことが起きない限り、制裁は解除されるだろう」、「血が染み付いたこの土地をめぐる争いはほかの人間に任せておこう」と述べた。

米財務省はその後、14日に発動した、トルコ国防省やエネルギー天然資源省、内相、国防相、エネルギー天然資源相内相に対する経済制裁を解除したと認めた。

トランプ氏の主張

トランプ氏によると、トルコは恒久的な停戦を約束してきたという。

制裁を解除した一方で、石油施設を守るため、今後もシリアの一部地域に「少数」の米兵を駐留させる方針という。

さらにトルコに対し、過激派「イスラム国」(IS)戦闘員が再びシリア国内で支配を強めることのないよう対応を求めた。

米国務省高官は、進攻による混乱に乗じて、シリア北部で拘束されていたIS戦闘員が100人以上脱走し、行方が分かっていないとしている。

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米軍撤退きっかけに

シリア北東部をめぐっては、トランプ大統領が6日に駐留米軍の撤退を発表。トルコは9日、クルド人民兵組織「人民防衛部隊(YPG)」が支配するシリア北部への進攻を開始した。

米軍撤退はトルコによるクルド人攻撃に「青信号」を送ったに等しいとして、トランプ氏は身内の共和党と野党・民主党の双方から、激しい批判を浴びている。

トルコは、シリア国境から約30キロにわたる一帯を「安全地帯」として確保し、YPGの戦闘員を完全に排除したい考え。そのうえで、シリア内戦などでトルコ領内に避難してきたシリア難民360万人のうち、最大200万人をこの安全地帯に移住させたいとしている。

トルコは、YPGをテロ組織と認定しており、クルド人地域のトルコからの独立を訴えているクルド労働者党(PKK)も、YPGと関係していると考えている。

トルコとロシアの合意内容

アメリカのマイク・ペンス副大統領は17日、エルドアン大統領と会談し、両国は軍事作戦を22日まで「一時停止」することで合意。この停止期限が切れる22日に、トルコはロシア側と合意に至った。


ロシアは23日、合意の一貫として、シリア国境の重要な町コバニとマンビジに軍を配備した。

一方トルコは、今回の軍事進攻でクルド人を排除して制圧した国境の町ラス・アルアインとタル・アブヤドを管理していくこととなる。

合意には、ロシアとトルコが23日から合同でシリア北部をパトロールする計画も盛り込まれた。トルコ軍が展開していないシリア北部が対象地域。

YPGが大半を占める「シリア民主軍」(SDF)を率いるマズローム・アブディ氏は、クルドとの協力関係の維持を約束したとして、トランプ氏に感謝するツイートを投稿した。

SDFの声明によると、アブディ氏は、クルドを戦争の「惨劇」から救ったとして、ロシア国防省に感謝した。その一方で、合意内容の一部に難色を示したというが、具体的に何を指しているのかは明らかにされなかった。

進攻の代償は

国連は、シリア北東部に居住する約300万人のうち17万6000人(うち子ども約8万人)以上が、過去2週間に自宅からの避難を余儀なくされたとしている。

シリア人権監視団(本部イギリス)によると、軍事衝突による死者は、民間人120人、クルド人戦闘員259人、トルコの支援を受けたシリア人戦闘員196人、トルコ軍人7人に上っている。

トルコ当局によると、YPGのトルコ国内での攻撃で、トルコの民間人20人が死亡した。

(英語記事 Trump lifts sanctions on Turkey over Syria assault