2019年10月24日 14:44 公開

ポール・リンコンBBCニュースウェブサイト科学編集長

米グーグルは、量子コンピューターで「量子超越性」の実証に初めて成功したと発表した。従来のスーパーコンピューターが1万年かけて解く計算を、同社の量子プロセッサ「Sycamore」を用いて3分20秒で解いたという。

この結果は、23日付の英学術誌ネイチャーに掲載された。

実証に成功したのは、カリフォルニア大学サンタバーバラ校のジョン・マルティニス氏率いるグーグルの研究チーム。

「画期的な出来事」

従来のコンピューターでは「0」と「1」を「ビット」という基本単位として情報を表すのに対し、量子コンピューターでは「0」と「1」を同時に表せる「キュービット(量子ビット)」を使う。

そのため、情報をより高速で処理することが可能で、多くの科学者が数十年にわたり、量子コンピューターの開発を続けている。

今回の実証実験には関わっていない、ユニバーシティ・コレッジ・ロンドン(UCL)のジョナサン・オペンハイム教授はBBCニュースに対し、「これは素晴らしいデバイスであり、間違いなく画期的な出来事だ。我々が関心を持っている問題を解くことができる量子コンピューターの開発には、あと数十年かかるだろう」と述べた。

「研究チームが自分たちのデバイスをしっかり制御し、エラーの発生率を低く抑えていることを示す、興味深い実験だ。しかし、本格的な量子コンピューターに必要な精度には程遠い」

一方、量子コンピューターを開発している米IBMは、グーグルの発表内容に懐疑的だ。

同社研究員のエドウィン・ペドノー氏、ジョン・ガネルズ氏、ジェイ・ガンベッタ氏はブログで、「同じ計算を、従来のコンピューターなら2日半でより正確に解ける」と反論。「これは最も控えめで最悪の想定だ。従来のコンピューターにさらに改良を加えれば、この想定よりもさらに短縮が可能だ」と述べた。

また、グーグルによる「量子超越性」の定義は誤解を招きかねないとした上で、「量子コンピューターが従来のコンピューターを『超越』することは絶対にない。それぞれに独自の強みがあるのだから、協調していくことになるだろう」と述べた。

(英語記事 Google claims 'quantum supremacy' for computer