さらに私が「マックスビューティの桜花賞を思い出しました」と言うと、師は「印象の強烈さでは、私がこの世界に入る前に活躍したテンポイントに通じるものがありましたよね」と、1970年代後半にトウショウボーイ、グリーングラスとともに「TTG三強」を形成した牡(おす)の歴史的名馬の名を挙げた。

 そして、手前を何度も替えることに関しては「よその厩舎(きゅうしゃ)ですけど、イスラボニータもそうでしたよ。体は柔らかいのに、体幹はしっかりしていた」と2014年の皐月賞馬に言及した。序盤掛かり気味になりながら完勝したオークスについては「前半折り合いを欠いてロスがありましたね。ディープインパクトの菊花賞を思い出しました」と、師の口から、牡の名馬の名が次々と出てきた。

 このように、国枝調教師は、早い時期からアーモンドアイに、「牝馬」という枠を超えたスケールの大きさを感じていたのだ。

 昨年は、レース直後、熱中症になったように歩様が乱れることが何度かあったが、古馬になってからは改善されている。

 手前をたびたび替える癖も以前ほどではなくなってきた。もともと「悪癖」だったわけではないので、替えなくなっても、また頻繁に替えるようになっても、気にする必要はないのかもしれない。

 ドバイターフ完勝後の帰国初戦となった安田記念では、序盤の不利が響いて3着に敗れた。しかし、国枝師が「今までで一番強いと思うレースをしてくれた」と話しているように、最後に見せた脚の鋭さは歴史的名馬のそれだった。
トウショウボーイ(左手前)を退け、第22回有馬記念を制したテンポイント(右)。3着のグリーングラス(左奥)とともに「TTG三強時代」を形成した=1977年12月、中山競馬場
トウショウボーイ(左手前)を退け、第22回有馬記念を制したテンポイント(右)。3着のグリーングラス(左奥)とともに「TTG三強時代」を形成した=1977年12月、中山競馬場
 約5カ月ぶりとなる天皇賞・秋でも、アーモンドアイだけの「特別な強さ」を見せてくれるはずだ。そう信じて競馬場に行きたい。