5年半前の消費増税の際には、実施直後の内閣支持率に有意な変化がほとんどなかった。既に公表された最新の調査を見ても、同様の傾向がうかがえる。

 しかも、財政再建や構造改革といった財務省的な発想、すなわち増税主義に染まりやすい自民党の政治家たちに対し、相変わらず世論の支持が高い。発言の「空洞」ぶりが話題の小泉進次郎環境相や、党内基盤を事実上失っている自民党の石破茂元幹事長がそうだ。彼らへの高い支持は、やはりマスコミの露出に依存していることは間違いない。

 他方で、増税しても政権への支持率が揺らがない最大の要因がある。やはり野党のふがいなさに尽きる。

 今の野党の最大の眼目は、菅原一秀前経済産業相の秘書が行った香典問題、そして萩生田光一文部科学相の、英語の民間検定試験をめぐる「身の丈」発言などを臨時国会での焦点にしようということだ。どちらもワイドショー受けはするかもしれないが、本当に今、国会で中心になってやることだろうか。

 もちろん、現在の世論動向の場合、テレビで取り上げられれば取り上げられるほど、内閣支持率に影響する。ただし、森友・加計学園問題でもはっきりしたように、別に野党の支持率を上昇させるわけではない。

 当たり前だが、世論もそれほど愚かではないし、野党はかえって「政策無能ぶり」を見抜かれているのだ。臨時国会でも、開会前こそ消費増税が多少論点になりそうな雰囲気だったが、いまや最大野党の立憲民主党にその熱意は全く感じられない。

 国民民主党に至っては、国家戦略特区ワーキンググループの原英史座長代理に対する国会での森裕子参院議員の「名誉毀損(きそん)」発言を事実上正当するありさまだ。前回も指摘したこの問題の経緯は原氏による解説動画を参照してほしいが、論点をずらしつつ、まさに大事のように持ち上げているだけである。

 消費増税関係の目立った動きといえば、せいぜい無所属の馬淵澄夫元国土交通相とれいわ新選組の山本太郎代表が立ち上げた「消費税減税研究会」ぐらいである。この研究会は5%への減税を旗印にして、野党間の連携を狙う政治スキームである。

 この種の試みについて、筆者は基本的に賛成だ。特に、馬淵氏のマクロ経済政策観は国会議員の中でも抜群である。
2018年3月、衆院本会議に臨む自民党の石破茂元幹事長(右)と小泉進次郎筆頭副幹事長(斎藤良雄撮影)
2018年3月、衆院本会議に臨む自民党の石破茂元幹事長(右)と小泉進次郎筆頭副幹事長(斎藤良雄撮影)
 ただし個人的には、山本氏とのタッグにはリスクが大きいと思っている。そのリスクは消費減税以外の主張にある。

 山本氏は子宮頸(けい)がんワクチンに対する不必要発言や、放射能リスクに関する発言などで物議をかもしている。確かにこれらの問題も重要であるが、本稿では山本氏率いるれいわの経済政策観が、必ずしも「反緊縮」とはいえないことに注目したい。