2019年10月30日 14:23 公開

イギリス下院は29日、欧州連合(EU)離脱をめぐる膠着(こうちゃく)状態を打破するため、議会を解散し12月12日に総選挙を実施する法案を可決した。

本来であれば、イギリスでは総選挙は5年に1度行われるはずだ。しかし、次の選挙は2015年以降で3度目となる。前回選挙は2017年だった。

12月の選挙について、仕組みや焦点を簡単にまとめた。

最大の論点はブレグジットに

総選挙の前に、各党はマニフェストとして、経済から国防、警察にいたるまでの詳細な政策を発表する。

一方、イギリスの有権者の関心事はこの数年で大きく変わった。

イプソスモリの世論調査によると、2015年の時点では、国民は国民保健サービス(NHS)や移民問題を気にしていた。EUに関心を示す人はほとんどいなかった。

しかし現時点では、ブレグジット(イギリスのEU離脱)が最大の問題だと答えた人が最も多かった。

なぜ今、総選挙を?

2016年にEU離脱の是非を問う国民投票でブレグジットが決定して以来、政治家たちの意見は大きく割れている。

一刻も早くEUから離脱するべきだという主張もあれば、もう一度、国民投票を行うべきだと言う意見、さらにはブレグジット自体を取りやめるべきだという主張も出ている。

ボリス・ジョンソン首相率いる保守党は現在、少数与党のため、新たな法案を通すことが難しい状況にある。ジョンソン首相は今回の総選挙を通じて議席数を拡大し、EU離脱の計画をスムーズに進めたいと考えている。

本来であれば、次の総選挙は2022年の予定だったが、ジョンソン氏はここ数週間、解散総選挙が必要だと強く訴えてきた。そして今、野党側がこれに賛同した。

総選挙の仕組みは?

イギリスの有権者は4600万人。下院の定数である650の選挙区から、議員を1人ずつ選ぶ。

投票権があるのはイギリス国民、アイルランド国民、そしてイギリス連邦加盟国の国民でイギリスの滞在許可を得ている人。いずれも18歳以上かつ有権者登録をしている必要がある。


若者よりも高齢者の方が投票する可能性が高い。2017年の総選挙では20~24歳の投票率は59%だったのに対し、60~69歳では77%に上った。

投票は各選挙区の教会や学校に設置される投票所で行われる。有権者は立候補者の名前が書かれた用紙をもらい、投票したい人物の名前に×マークを付けて、封印された投票箱に入れる。

当選者はどのように決まる?

下院議員には、各選挙区で最も支持を集めた候補者が当選する。

当選には単純に、同じ選挙区の誰よりも多くの投票を集めればよいので、当選者の得票数が過半数に満たない場合もある。

ほとんどの立候補者が政党に属しているが、無所属での立候補も認められている。

通常、下院で過半数の326議席以上を得た政党が政権を獲得する。しかし、第1党が過半数議席を取れなくても政府を樹立することは可能だ。その場合は他の政党と連立政権を樹立する。

首相は直接投票によって選ばれるわけではなく、第1党の議員に選ばれ、エリザベス女王によって任命される。一方、エリザベス女王は首相の助言に従うよう法律で定められている。

なお、上院議員は投票ではなく、首相の助言のもと、女王によって任命される。

2017年の前回選挙はどうだった?

1922年以降に行われた全ての総選挙で、保守党か労働党が第1党となっている。

2017年の総選挙でも保守党と労働党が2大政党の座を維持したものの、どちらも過半数議席は得られなかった。第1党だった保守党は、北アイルランドの民主統一党(DUP、10議席)と閣外協力することで過半数を確保した。

この選挙以降、保守党と労働党は共に離党や追放などで議員数を減らしている一方、自由民主党は議席数を増やしている。

誰が立候補できる?

イギリス国民、アイルランド国民、そしてイギリス連邦加盟国の国民でイギリスの滞在許可を得ている人で、選挙当日に18歳以上であれば、ほとんどの人が立候補できる。

立候補には500ポンド(約7万円)の積立金が必要だが、これは得票率が5%未満だった場合には戻ってこない。

また、服役囚や公務員、裁判官、警察官や軍人は立候補できない。

結果はいつ分かる?

総選挙当日、投票は午前7時から午後10時まで行われ、その夜から次の日にかけて結果が発表される。

全体の結果が明らかになった時点で、第1党の党首はまずバッキンガム宮殿を訪れ、エリザベス女王に政府を形成する許可を得る。その後、首相官邸へと向かう。

首相官邸に到着し次第、新首相は玄関の前で党の政策などについて演説を行うことが多い。

(英語記事 A really simple guide to the UK general election