2019年11月04日 15:29 公開

インド北部で大気汚染が悪化している。デリー首都圏の当局は、市民に外出の自粛を要請し、車両の通行制限に乗り出した。

デリー首都圏のアルヴィンド・ケジリワル首相は、「大気汚染が耐えられない水準まで達した」と警告した。

各地で大気中の微小粒子状物質PM2.5の濃度が急上昇し、呼吸器疾患を引き起こす恐れのある「有害」レベルに達しているという。

車のナンバーで通行制限

3日には大気汚染によって視界が悪くなったため、航空便30便以上が欠航となった。

汚染を軽減するため、自動車の通行を制限する規制が発動された。4日から15日まで、ナンバープレートの末尾の数字が偶数か奇数かによって、日替わりで通行が認められるという。

また、デリーの学校は5日まで休校となったほか、建築工事も中止されている。

デリーのサティエンダル・ジャイン保健相は住民に対し、「午前中や夜遅い時間には屋外での運動を避ける」よう呼びかけている。

さらに、マスクの着用や汚染地域に立ち入らないこと、建物の扉や窓を閉め切ることなどを指示している。

大気汚染の原因は?

インドではこの時期、焼き畑や麦の収穫後のわら焼きが行われており、高い大気汚染レベルの主な原因となっている。

また、1週間前に行われたヒンドゥー教の祭典「ディワリ」の花火でも、二酸化炭素(CO2)や二酸化窒素(NO2)、二酸化硫黄(SO2)といった人体に有害な物質が排出されたという。

これらに自動車の排気ガスや、工事現場や工場からの排出ガスが加わり、スモッグになっている。

雨が降ればこうした有害物質は大気中から除去されていくが、予報では7日まで雨は見込めないという。

汚染物質は検出できない水準

有害物質を表す微小粒子状物質PM2.5の濃度は現在、同じく大気汚染が問題となっている中国・北京の7倍に達している。

インドの国家保健局の職員はツイッターで、デリーの大気汚染度測定器では最大値の999が多く検出されており、正確な汚染度は検出できないと警告。「これは災害だ」と話した。

https://twitter.com/Varun_Jhaveri/status/1190887202319790080


1日には公共衛生非常事態が宣言され、各地の学校で計500万枚のマスクが配られた。ケジリワル首相は、デリーの現状を「ガス室」のようだと話している。

世界保健機関(WHO)によると、心筋梗塞や肺がん、心臓疾患による死亡例の3分の1が大気汚染によるものだという。

「大気汚染には、喫煙と同程度の影響を体におよぼす」とWHOは説明している。

住民の反応は?

BBCのジル・マクギヴァリング東南アジア編集長によると、インドの政治家は互いに責任をなすりつけあっている状態だという。

こうした中、3日にはデリーの若者が解決策を求める抗議活動を行った。

デモ行進に参加したジャイヴィプラさんは、「大気汚染がひどいのは明らかだ。スモッグで目の前が見えないのは実際、とても怖い」と話した。

ジャイヴィプラさんは、長期的で持続可能な大気汚染対策が必要だと訴える。

「私たちは自分たちの未来や健康も心配だが、大気汚染の被害を一番こうむっているお年寄りと子どもたちのために戦っている」

一方で気軽な大気汚染対策を紹介して、ソーシャルメディアで物議を呼んでいる政治家もいる。

ハルシュ・ヴァルダン保健・家族福祉相は、ニンジンを食べることで「夜盲症」や「大気汚染による健康被害」を避けられるとツイート。

プラカシュ・ジャベデカル環境・森林・気候変動相は、「才気あふれたテーマ曲」のリンクと共に、「一日を音楽を聞くことで始めよう」と呼びかけた。

これに対しあるツイッター利用者は、「音楽を聞いているから大気汚染の苦境に耳を塞いでいるのか?」と返信している。

(英語記事 India air pollution at 'unbearable levels'