これに対する文大統領の対応はなかった。つまり、外交交渉などと呼ぶものではなく、単なる文政権の国内向けのイメージ戦略でしかない。

 報道によれば、文大統領は「必要があれば、高位級協議も検討したい」と一応提案したという。だが、実務者レベルで、輸出管理問題や自衛隊機へのレーダー照射問題に関し、あれほど不誠実な対応を繰り返した韓国側に、より高位級の要人で協議に応じる筋合いが日本側に全くない。

 むしろ、高位級レベルで応じるのであれば、いわゆる元徴用工問題における現在の韓国側の対応から、報復措置を通告することが望ましい段階とさえいえる。

 韓国の外交攻勢は、文大統領の「無理強い対話」だけにとどまらない。韓国国会の文喜相(ムン・ヒサン)議長が20カ国・地域(G20)国会議長会議で来日したが、今回の文議長の言動にも韓国の常套(じょうとう)手段が見て取れる。

 文議長といえば、譲位前の上皇陛下に謝罪を求めた発言で知られている。天皇陛下を海外の重職者が自国のために政治利用しようという無法な態度といい、単に日本国民に対しても計り知れないほどの無礼を行った人物である。

 最近の朝日新聞のインタビューで、文議長がこの件について「謝罪」したとする見出しのついた記事が掲載されていた。ところが一読すると、トンデモない内容だった。

 文議長は「謝罪」どころか、日本国民が元徴用工などに謝罪すべきだと述べているのである。まさに「無限の謝罪要求」という韓国の常套手段である。

東京で行われたG20国会議長会議に臨む韓国国会の文喜相議長。手前は山東昭子参院議長=2019年11月4日(佐藤徳昭撮影)
東京で行われたG20国会議長会議に臨む
韓国国会の文喜相議長。手前は
山東昭子参院議長=2019年11月4日(佐藤徳昭撮影)
 日本に対する政治的なマウント取りの手段として、韓国が慰安婦問題、元徴用工問題などを謝罪と賠償の無限ループで利用していることは、よほどの無知か、韓国への偏愛がない限り自明である。その意味では、文議長に日本に対する謝罪の意思はなく、謝罪要求だけが強いとみて差し支えない。むしろ日本の国益上、入国を拒否すべきぐらいの人物ではないだろうか。

 このような指摘を書くと、日本では「ネトウヨ」などと戯言(たわごと)並みの批判が出てくる。しかし、日本国憲法では、天皇の政治的な言動が禁じられている。他国の憲法を踏みにじり、天皇陛下に謝罪させるという政治的利用を狙った人物に日本政府が明確な「ノー」を突き付けることは正当な対応である。

 会議に先立って、山東昭子参院議長が文議長に書簡を送り、発言の撤回と謝罪を要求していたことが分かった。その要求に文議長は事実上返答しなかったため、山東議長との会談は見送られた。