この水族館の環境研究所の富原聖一リーダーは、水族館の獣医としての業務のほかに、高性能の放射線検出器を用いて、福島第1原発事故の直後から、福島県の魚の汚染状況を計測する活動を市民とともに実行しており、その活動はNHKの番組などでも紹介されている。

 富原リーダーは、福島第1原発の沖合10キロの海底にいた83センチのヒラメを釣り、それを台湾来日チームの目の前で刺身にして、放射線検出器の遮蔽容器の中に入れて約2時間計測した。ヒラメの年齢は10歳で、原発事故が発生したのは8年前のため、2歳のときに海底で汚染水に遭遇したはずである。

 このヒラメの放射能の測定結果はヨウ素もセシウムも検出限界以下(ND)であった。学生たちも私も、おいしくヒラメの刺身、カルパッチョ、唐揚げを食べた。この様子を共同通信が取材し、その配信された記事は産経新聞や多くの地方紙に掲載され、さらに中国語に翻訳されて台湾にも配信された。その記事は大変好評で反響も大きかった。

 ゆえに進次郎氏にも、ヒラメの試食をお勧めしたい。地元に寄り添うとは、このように住民の不安を取り除き、風評被害を防いでいくことである。言葉ではなく、実行することが大事なのだ。

 では、最後に福島第1原発の処理水の希釈放出監視センターについて提案したい。先ほど説明したように、福島第1原発の処理水を100分の1まで希釈すれば、トリチウムはWHOの飲料水水質ガイドラインのトリチウムの濃度である1リットルあたり1万ベクレル以下にすることが可能である。福島第1原発の処理水タンクに保管されている総量は約100万立方メートル、濃度約100万ベクレル/リットル、総放射能約1千兆ベクレルであるから、約10年かけて100倍の容積の海水で希釈して海洋放出すればよい。

 1日あたり276立法メートルのトリチウム水を2760トンの海水で希釈すればよいのだ。このためには、大型のポンプとその動力である電気が必要である。そこで、図4に示すように、福島第1原発の敷地内にガスタービンコンバインド(GTCC)火力発電所を設置し、その蒸気タービンの復水器に循環する多量の海水にトリチウムを混入して希釈し、放射線の監視センターを併設するのである。
(図4)福島第一コンバインド火力発電とトリチウム希釈監視センター
(図4)福島第1コンバインド火力発電とトリチウム希釈監視センター
 発電した電気は、この復水器の海水循環ポンプの動力にするほか、福島県の浜通りに設置された多量のメガソーラーの出力変動の需給調整に活用すればよい。地元貢献にもなるし、農産物や海産物の食品加工センターに低廉な電気や熱を供給すればよい。

 そして福島で獲れた魚は、一度すべてを国が市場価格で買い取り、放射線の検査をした上で、安全確認済の金色のシールを貼って市場に出すのだ。これは評論家の池田信夫氏が提唱していた考え方で、このように英知を集めれば、福島県の海産物は再び復活するはずだ。進次郎氏はじめ、多くの議員、各省庁の食堂などが率先して購入すれば、風評被害は最小限に抑えられるにちがいない。