実は、南東部の月城(ウォルソン)原発から、2016年の実績で年間約136兆ベクレルのトリチウムが環境に放出されている。南部の古里(コリ)原発からも年間約52兆ベクレルが放出されている(2016年)。 この韓国産のトリチウムと福島第1原発産のトリチウムは科学的に見て、質になんら差がないのである。

 上記の韓国の両発電所を合わせると、年間約で188兆ベクレルのトリチウムを放出している。これらはあくまで韓国側が内容を公表している分であり、これ以外にも原発はある。つまり、優に年間200兆ベクレルを超えるトリチウムを韓国はこれまでに放出してきたし、今も放出しているのである。

 2019年9月現在、福島第1原発には約116万トンのトリチウム処理水が貯蔵されている。そこに含まれるトリチウムの量は放射能に換算すると、1160兆ベクレル(1・16×1015ベクレル)になる。ちなみに、環境中に存在する全トリチウム量(2×1019ベクレル)に比べれば、福島第1のトリチウム処理水が含むトリチウムの量は、その約0・005%と極めてわずかでしかない。

 韓国の原発が毎年放出している200兆ベクレルとは、5〜6年で福島第1の1160兆ベクレルに相当する量である。韓国の月城1号機から4号機はトリチウムを多く発生するカナダ製重水炉(CANDU炉)で、1983年に1号機が運転を開始し、4号機でさえ1999年に稼働している。

 つまり、どの号機も10年以上の運転実績があるので、積算すれば優に1000兆ベクレルを超えるトリチウムがこれまでに日本海や日本列島目掛けて放出されてきたのである。

 なぜなら、トリチウムの処分方法には海洋放出と大気放出があるが、韓国の場合、海洋処分ならもちろん日本海に放出されている。そして、大気に放出されれば、偏西風に乗って日本列島へと目掛けて流れてくるのである。

 韓国の当局者がこの実態を知らないとすれば、非科学極まりない話である。ましてや、この事実をあえて無視して日本の外交官を呼びつけたり、国際機関で発言しているとすれば、もう厚顔無恥では済まされないお粗末さとしか言いようがない。
2019年9月、米ニューヨークで握手するIOCのバッハ会長(左)と韓国の文在寅大統領(聯合=共同)
2019年9月、米ニューヨークで握手するIOCのバッハ会長(左)と韓国の文在寅大統領(聯合=共同)
 このように福島第1の処理水に含まれるトリチウムに匹敵する量を環境に放出してきた韓国が、福島第1のトリチウム水を敵対視し、非難する理由が一体どこにあるのだろうか。どこにもないことは明々白々である。

 韓国政府の認識はあまりにも非科学的であり、国際機関の総会という機会を乱用し、国際社会に向けて誤った認識を広めようとするのは、度を越したバッシングであり、「下手くそで卑劣な政治的ショー」という他ない。