だが、この問題は既に韓国の低レベルな言動に止まらない動きを見せている。状況をさらにややこしくした政治家が日本にいたからだ。

 その人物とは、9月11日に発足した第4次安倍晋三再改造内閣で初入閣した小泉進次郎環境相である。前日の10日、退任直前の原田義昭環境相(当時)が会見で福島第1原発の処理水について「思い切って(海洋に)放出して希釈する他に選択肢はない」と表明した。この発言が大いに物議を醸し、進次郎氏は新任早々矢面に立つ形となった。

 この発言の最大のポイントは、言うまでもなく福島県産の海産物に対する風評被害への危惧である。原田氏の発言に対し、漁業関係者の不安の声が湧き上がり、後任の進次郎氏が翌12日にいわき市に出向いて、県漁業協同組合連合会の幹部と面会した。この面会のなかで進次郎氏は「発言は前大臣の個人的な所感ではあるが、福島の漁業者に不安を与えてしまい、後任の大臣としてまずお詫びしたい」と陳謝したという。

 進次郎氏の一連の言動は、原田氏の発言を否定したとも解釈される。その場合、「福島第1の処理水は危険なものだ」というメッセージにもなり得る。つまり、韓国側による国際機関などでの主張を肯定しているとも受け止められる。日本政府の閣僚として、あってはならないことである。

 進次郎氏は環境相として即座に地元関係者に詫びを入れ、その陳謝の有様を世界に向けて発信するなど、可惜(あたら)無用の政治パフォーマンスに走ってしまっている。結果として風評被害はさらに大きくなり、処理水問題の解決が遠のいた。世界と韓国の実情に鑑みて、科学的、客観的事実に基づいた上で決然と反論すべきなのに、そのような姿勢は一向に見られない。

地元・横須賀で講演会で後継の二男、進次郎氏を紹介した小泉純一郎元首相=2008年9月(鈴木健児撮影)
地元・横須賀で講演会で後継の
二男、進次郎氏を紹介した
小泉純一郎元首相=2008年9月(鈴木健児撮影)
  結果的に、世界に向けて誤った認識を広めることに一役買っている。これは福島の漁業関係者のみならず、日本にとっても大きな不利益をもたらす行為である。

 進次郎氏がこのような体であり、かたや父親の小泉純一郎元首相は「原発ゼロ」をワンフレーズでうたいながら、相も変わらず原発の危険性を訴え続けている。まるで、韓国による国際問題化の屁理屈を親子で後押ししているようなものだ。

 このままの姿勢が続くようであれば、韓国に利用されかねない。「国難」と言わずして、何というのであろうか。