2019年11月19日 12:10 公開

アメリカ政府は18日、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸でイスラエル政府が建設してきた入植地について、国際法違反とみなさないと発表した。米政府にとって方針転換となる。

マイク・ポンペオ国務長官が記者会見で、ヨルダン川西岸の地位は、イスラエルとパレスチナが交渉すべきものとの見解を示した。

「アメリカは法的論争をすべての面から慎重に検討した結果、イスラエル民間人によるヨルダン川西岸の入植地建設はただちに、国際法に則っていないというわけではないとの結論に達した」

ポンペオ氏はまた、「民間人の入植地建設を国際法に則していないと指摘する方法では、うまくいかなかった。平和の促進につながらなかった」と述べた。

「歴史の過ちを正す」

イスラエルは、アメリカによるこの方針転換を歓迎した。

ベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ドナルド・トランプ米政権による方針転換は「歴史の過ちを正す」ものだと評価。他国も続くよう求めた。


一方、パレスチナ解放機構(PLO)の交渉担当者サエブ・エレカット氏は、アメリカの決定を「世界の安定と安全、平和」を危険にさらすものと批判。

国際法を「ジャングル法」に変えてしまう恐れがあると述べた。

140入植地に60万人

イスラエルによるパレスチナ自治区での入植地建設は長年、同国と国際社会、パレスチナの間における論争の原因となっている。

イスラエルは1967年の第3次中東戦争後、入植地を建設してきた。現在、約140の入植地があり、計約60万人のユダヤ人が居住している。

入植地は一般的に、国際法に照らして違法だと考えられている。ただ、イスラエルは一貫してこの見方に異を唱えている。

パレスチナは長年、すべての入植地の撤廃を要求してきた。将来、独立したパレスチナ国家となるべき土地に入植地があると、国家建設がほぼ実現不可能になると主張している。

オバマ政権はイスラエル擁護せず

アメリカは1978年、ジミー・カーター政権で、イスラエルの入植地建設は国際法違反と結論づけた。しかし1981年には、ロナルド・レーガン大統領がこの結論に不同意を表明。入植地が固有の違法性をもつとは思わないと述べた。

以来、アメリカは入植地を「違法」ではなく「非合法」と表現してきた。さらに、国連でイスラエルが非難されるのをかばってきた。

しかし2016年末、バラク・オバマ政権は国連において従来のアメリカの慣行を破った。イスラエルに違法な入植を終わらせるよう要求する決議案の採択で、拒否権を発動しなかった。

当時すでに次期大統領だったトランプ氏はこれに抗議。トランプ政権は、イスラエルの入植に対しては前政権よりも寛容な態度を示してきた。

ポンペオ氏は、トランプ政権は論争全体を検討した結果、レーガン氏に賛同したと説明した。

<分析>イスラエルは奮起、パレスチナは困惑

バーバラ・プレット=アシャー、中東特派員

ポンペオ氏は、この決定により、さらに現実的な紛争解決を模索するための政治的名余裕が生まれると述べた。しかし、これでその解決は、イスラエルの出方に大きくかかっていると言えるだろう。イスラエルの方がはるかに強大な当事者だからだ。

ユダヤ人の入植に対して、国際法の制約を当てはめないのは、パレスチナ国家の権利と言う概念や自決権の原則など、中東和平の法的枠組みを損なうものだ。今回の決定によって、ユダヤ人入植地の拡大と併合の動きが活発化するのはほぼ間違いない。トランプ氏が政権を握ってから、入植地の計画と建設が急増し続けている。

パレスチナ人は困惑するが驚きはしないだろう。私が話をしたパレスチナ人の専門家たちは、ユダヤ人入植地の増加は、実効性のある2国共存解決案の可能性を、実質的に台無しにしてしまったと話す。これは陣取り合戦なのだと、専門家たちは言う。今いる土地でただ日々の暮らしを続けることも、ある種の非暴力抵抗なのだと。

(英語記事 Jewish settlements no longer illegal - US