片岡亮(ジャーナリスト)

 女優の沢尻エリカが、合成麻薬「MDMA」を所持したとして警視庁に麻薬取締法違反容疑で逮捕された。11月16日、東京都目黒区の自宅マンションで緊急逮捕された沢尻は翌日、東京地検に送検された。

 捜査関係者によると、沢尻は逮捕後、「私のものに間違いありません」と容疑を認めている。その上で、数週間前にイベント会場で知人からもらったことや、以前から薬物を使用していたことを供述しているという。

 公開中の『人間失格 太宰治と3人の女たち』や、来年1月から始まるNHK大河ドラマ『麒麟(きりん)がくる』と、立て続けに出演が決まっていただけに、まず浮かぶのは「女優として活躍していたのに、なぜ?」という疑問だ。誰もがうらやむ美貌の持ち主で、金や名誉に不自由しない立場のはずなのに、わざわざ違法薬物に手を出して、結果として一夜でトップ女優の立場を失うことになってしまった。

 確かに動機は気になるだろうが、本件には、そんな前振りをすっ飛ばしたくなる巨大な闇が潜む。テレビの情報番組で、「仕事への大きな損害が出るだろう」や「女優として再起できるのか」といった話に焦点が当たっているのは、ひょっとして「核心」についてコメントできないからでは、とさえ思えてくる。

 一部、麻薬依存者の更生を重んじて「罰よりケア」を求める人もいたが、これもちょっとしらじらしい気がする。一般人とはケタ違いの金を手にしていた著名人なら、元々は来月の家賃の心配もいらない身のはずだ。

 酒井法子は歌手活動を大々的に再開しているし、清原和博だって「球界復帰」への一歩を踏み出した。2人のように誰かから声がかかって、再起をいくらでも歓迎される人の復帰など、率先して心配する話ではないし、建前論にしか聞こえない。

女優の沢尻エリカ容疑者=2018年6月
逮捕された女優の沢尻エリカ容疑者=2018年6月
 そんなことよりも注目すべきは、沢尻には2009年に前の所属事務所から大麻使用を理由に契約解除されたという報道があったことで、そこが事件の最大のポイントだ。前事務所側は解除の理由を「重大な契約違反行為があった」とリリースしていたが、本人同意のもとで行った薬物検査で陽性反応が出たという話が一部週刊誌で証拠書類とともに報じられていた。

 デビューして間もなく、その生意気な態度から「エリカ様」と呼ばれたり、女優や女性タレントを集めた飲み会を定期的に開くことも、「沢尻会」のリーダーに収まっているとネタにされたりした。実際に07年、「別に…」発言に象徴された主演映画の披露あいさつで悪態をついたことでバッシングを浴び、人気が一気に凋落(ちょうらく)することになる。