2019年11月25日 11:42 公開

香港で24日に行われた区議会選挙で、民主派が大きく議席を伸ばした。現地紙サウス・チャイナ・モーニングポストによると、25日午前9時(日本時間午前10時)の時点で、民主派は全18地区のうち17地区で勝利し、278議席を得ている。

親中派の議席は今のところ、42議席に留まっている。

この日は290万人以上が投票し、投票率は71%と、2015年の前回選挙の47%から大きく伸びた。

香港の区議会議員は主に、ごみの回収やバス路線といった地域問題を取り扱う。しかし、6月から続く民主化・反政府デモに対する政府の対応や、林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官に対する国民の意思を問う選挙として注目されていた。

今回の投票には、人口740万人の半分以上に当たる410万人が有権者登録を行った。

議席を失ったある親中派の議員は、「天地がひっくり返ったかのようだ」と話している。

行政長官選出にも影響

これまで区議会は親中派が過半数を握っていた。

今回の区議会選では初めて全452議席が改選し、1000人以上が立候補した。区議会にはこのほか、原居民の郷事委員会から27人が参加する。

香港の選挙法では、区議会議員のうち117人が、行政長官の選出に関わる選挙委員会(定数1200)に参加することになっている。

そのため、区議会選での民主派の勝利は、次の行政長官を選ぶプロセスにおいても大きな役割を果たすことになる。

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今回の区議会選には、著名な活動家が多く立候補した。

さまざまな抗議デモを主導している「民間人人権陣線」のリーダー、岑子杰(ジミー・シャム)氏が初当選した。

岑氏もこれまでに2度、襲撃を受けている。うち1度はハンマーで殴られ、血まみれで道路に横たわっている写真が公開された。

松葉杖で取材に応じた岑氏はロイター通信に対し、「この選挙は、親中派と民主派が公に戦うことになる特別なものだ」と語った。


著名な民主化活動家の黄之鋒(ジョシュア・ウォン、ウォン・ジーフン)氏は今回、立候補を禁止された。黄氏はこれを「政治的選別」だとしているが、黄氏の代わりに出馬した民主派候補は当選したと報じられている。

黄氏はツイッターで、「歴史的だ。出口調査では野党側が地すべり的勝利すると示唆している。香港市民は大きくはっきりと声を上げた。6カ月たってなお市民は運動に反対していないことを国際社会は認めるべきだ」と述べた。

https://twitter.com/joshuawongcf/status/1198656208728678405


一方、親中派の何君堯(ユニウス・ホウ、ホウ・クワンユウ)議員は落選。番狂わせの結果となった。

何議員はかねて、デモ参加者の対処に当たっている香港警察への支持を提唱。先に支持者のふりをして近づいた男に刃物で刺された

また、7月には、覆面と白いTシャツの集団が元朗区の地下鉄駅で民主派活動家や通行人を襲撃する事件をめぐり、覆面の男たちと握手している姿が目撃されていた。

同じく落選した親中派の麥美娟(アリス・マク)議員は、林鄭政権に敗北の一因があると話した。

「選挙活動では、親政府派の立候補者は冷遇されていた。これが(落選の)非常に重要な理由だ」

この日、投票所には警官の姿があったが、BBCの特派員によると、表立った活動はしていなかったという。

林鄭行政長官は投票終了後、「非常に困難な状況に直面しながら、今日の選挙は比較的穏やかで平和的な環境だったといえる」と話した。


<解説>想像以上の完敗 ――スティーヴン・マクドネルBBC中国特派員(香港)

油麻地北の投票所の外では、地元の住民が開票現場を見るために列を作っていた。扉が開かれると、住民たちは一気に観覧エリアに入っていった。

香港の政治危機が始まって6カ月がたった今、住民は政府機関への信頼を失っている。それだけに、投開票が確実に、公正かつ透明に行われると確認したいのだ。

自分の選挙区の開票結果を待つ間、他の地区の結果については携帯電話で見ることができた。

その表情から、住民たちは次々と明らかになる結果に驚嘆しているのが見て取れた。予想外の結果が発表されるたびに、驚きと喜びの声があがった。

これまで過半数議席を握っていた親中派がこれほどまでに完敗するとは、誰も予想していなかった。

林鄭氏やその仲間にとって、これは惨敗だ。この結果を受けて林鄭氏の政府は確実に、デモ参加者の要求を聞くよう、あらためて圧力を受けるに違いない。


(英語記事 Huge gains for pro-democracy groups in HK polls