仲村覚(日本沖縄政策研究フォーラム理事長)

 10月31日早朝、目を疑うような映像がテレビやインターネットで映し出された。激しく燃える首里城の姿は沖縄県民のみならず、全国民に大きな衝撃を与えた。

 焼失を受けた政府の反応は異常なほど早かった。沖縄の経済振興政策を担当する衛藤晟一(せいいち)沖縄北方担当相は同日付で「首里城は沖縄のシンボルであり、内閣府として、沖縄県及び国土交通省、文部科学省等の関係省庁と密接な連携を取り、今般の火災の全貌の把握をするとともに、再建に向けて全力で取り組んでまいります」とのコメントを出した。

 火災前日から2日間の日程で韓国の観光業界団体と意見交換のために訪韓していた沖縄県の玉城デニー知事も予定を切り上げて、31日午後に那覇に戻った。翌日の11月1日には首相官邸を訪れ、衛藤氏と菅義偉(よしひで)官房長官と続けて面談し、再建に向けて政府の支援を要請した。政府も必要な経費を含めて全面的に支援する方向で検討している。

 また、再建を支援する寄付活動も迅速に動き始めた。那覇市は11月1日、ふるさと納税の制度を利用したクラウドファンディングによる再建支援プロジェクトを始めた。県内企業やマスコミも支援のための寄付を募り始め、スーパーなどで募金箱が置かれている。

 そもそも、基地問題に代表されるように、沖縄県は何かと政府と対立することが多い。ただ、このように官民問わず早くから迅速に動き始めたことで、首里城再建では一致団結して進められるかのように見える。政府もそれを期待して、早々に支援表明しているのだろう。

 しかし、沖縄問題をウオッチし続ける者として、再建に向けた国民の盛り上がりに水を差しかねないし、批判は承知の上で指摘したい。残念ながら、首里城は既に「第二の辺野古」になる方向で動き始めていると言わざるを得ない。
炎上する首里城を見つめる市民ら=2019年10月31日午前6時、那覇市
炎上する首里城を見つめる市民ら=2019年10月31日午前6時、那覇市
 その原因は政府の不作為のツケに尽きる。先の大戦後、「沖縄がいつから日本なのか」分からないあいまいな歴史観を放置し、他国からの思想侵略、歴史戦から国を守る体制を構築してこなかったからである。

 これから起こる沖縄の身勝手に見える要求や反応の前に、政府側が理解できずパニックになったり、激高する恐れがある。そのようなことに陥らないよう、本稿では「首里城問題」の深層について指摘しておきたい。