つまり、沖縄の自己決定権の回復とは、日本政府に沖縄の人々を先住民族と認めさせて、その権利を回復する、ということだ。最終的には、琉球王国の復活を意味する。このように、語意をすり替えながら県民を扇動し、国連に沖縄の人々を先住民族だと認めさせてきたのだ。

 また、首里城の復元だけでなく、世界遺産登録の観点からも大きな懸念がある。

 ユネスコのメヒティルド・ロスラー世界遺産センター長は15日、上野通子文部科学副大臣と会談し、大規模火災で城の主要な建物が失われた首里城の跡地一帯について、世界遺産としての登録取り消しや見直しを行う考えがないことを表明しました。
 その上でロスラー・センター長は、必要があればすぐにでも首里城を復元するために、ユネスコから専門家を派遣する意向も示したということです。


 国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)も手を差し伸べてくれるということで、良いニュースのように聞こえる。首里城跡を含む「琉球王国のグスク及び関連遺産群」は2000年にユネスコの世界文化遺産に登録された。

 しかし、ユネスコは09年になって、沖縄の言葉が「日本の方言ではない独自の言語」だとして、消滅危機言語に指定している。つまり、世界遺産登録の際には、沖縄の人々を日本人だと見ていたユネスコが、この時点から「沖縄の人々は日本に滅ぼされた先住民族」と認識するようになった可能性が生じる。この大きな変化を見逃してはならない。

 もし、ユネスコが国連勧告にのっとって首里城復元に口をはさむとしたら「先住民族の権利を保護するために、琉球・沖縄の人々の希望に応えて所有権を移管せよ」と言い出すことにもつながりかねない。応じてしまえば、日本政府が沖縄の人々を先住民族だと認めたことになってしまうのだ。
首里城の復元に向けた初の関係閣僚会議であいさつする安倍首相(右)。その左隣は衛藤沖縄北方相=2019年11月6日、首相官邸
首里城の復元に向けた初の関係閣僚会議であいさつする安倍首相(右)。その左隣は衛藤沖縄北方相=2019年11月6日、首相官邸
 果たして、ユネスコは沖縄の人々を日本人と認識しているのか、それとも先住民族だと認識しているのか。大きなリスクを回避するため、日本政府は関与を受ける前に確認するべきだ。そして、日本人と認識しているとの公式回答がない限り、首里城の復元関連事業に関わらせてはならない。

 そもそも、焼失した首里城は世界遺産の登録対象ではない復元建築物なので、世界遺産の登録の可否と全く関係性がない。それならば、なぜユネスコは「必要があれば、専門家を派遣する」というのだろうか。裏の目的があるのではないかと勘繰りたくなるのは、筆者だけだろうか。