また今回、韓国が行ったマッチポンプから自爆した一連の騒動はわれわれから見ると「情けない」の一言で言い表せるものですが、彼らは他国からどう見られようが一向に気にしません。

 嘘も百回繰り返せば真実になると思い込み、自己主張だけを繰り返す面の皮の厚さは「こんなことをすれば世界からどう見られる」とか「国際社会は云々(うんぬん)」といったように他国の目を過剰に気にするわが国(特に外務省の役人)は、ある程度見習うべきだと思います。という私の感想はさておき、わが国では日韓GSOMIAを破棄しても日本に全く影響がないと言う人もいれば、逆に大問題だと言う人もいるのが実情で、さらに破棄が問題であるという人の中にも日本のためを思っている人と、韓国のためを思って言っている人がいるので問題はやや複雑です。

 そこで日韓GSOMIAは、わが国の国益にかなうのか否かという観点から話を進めていきたいと思いますが、古くは日米安保、最近では安保法制など、問題の中身を知らずイメージだけで批判する人も少なくないので、そもそもGSOMIAというものは何なのかという話から始めたいと思います。

 GSOMIAというのは「General Security of Military Information Agreement」の頭文字をつなげた略語で、日本語で言うと「軍事情報に関する包括的保全協定」です。一般的には、秘密情報を共有するものと勘違いされている方も少なくありませんが、相手国から提供された情報を他国に漏らさないという約束です。

 大ざっぱに言えば「〇〇国のミサイル発射情報を教えるけど、それを他の国には言ってはいけませんよ」というもので、教えたくない情報を教える義務はなく、情報は軍事関連のものに限られますので、一部の人が言う拉致事件に関するものは含まれません。

 そして今回の経緯について、日韓どっちもどっちというような言い方で双方が悪いというような言い方をする人もいますが、韓国側から一方的に破棄を宣言してきたものであるということを強調しておきます。

 さらに言えば本協定は2016年11月23日に発効されたものですが、その約4年半前の2012年6月29日、日韓GSOMIA締結1時間前に韓国側の一方的な都合で延期された過去があることを忘れてはいけません。つまり、締結も破棄も韓国が自国の都合で一方的に日本を振り回しているのが実情なのです。

 また、この問題は日韓だけではなく実質的には日米韓3国の問題であることも理解しておく必要があります。今回、米国が多数の高官を送り込むなど執拗(しつよう)に韓国に対して破棄撤回を求めたのは、米国としては朝鮮半島有事の際に日韓GSOMIAは必要不可欠であるという認識を持っているからです。
ホワイトハウスで韓国の文在寅大統領(右から2人目)らを出迎えたトランプ米大統領(同3人目)=11日、ワシントン (ロイター=共同)
ホワイトハウスで韓国の文在寅大統領(右から2人目)らを出迎えたトランプ米大統領(同3人目)=2019年4月11日、ワシントン(ロイター=共同)
 常に戦争という選択肢を持ち続ける米国は、朝鮮半島有事の際に日韓GSOMIAがなければ日韓が情報を共有するため、米国が両国の橋渡しをしなければならず、一刻を争う緊迫した場面では命取りになりかねないという現実的な懸念を持っているのです。この米国のリアリズムを日本と韓国は共有すべきなのですが、日本の国権の最高機関は「花見」の話でまともな審議が行うことができず、韓国は従北政権と保守派の内戦状態で大混乱、北京と平壌から高笑いが聞こえてきそうです。

 そして、決定的なのは軍事的技術的な問題よりも政治的に他国に与える影響の大きさで、本来、朝鮮半島での対立構造は日米韓(自由民主主義)VS露中朝(独裁全体主義)の3対3であったものが、韓国が日韓GSOMIAを破棄することによって事実上日米VS露中朝韓の2対4という図式になってしまうことで、パワーバランスが崩れると紛争が起きるという古来からの教訓に鑑みれば、戦争を望まない米国が必死に阻止するのは当然です。