2019年12月03日 13:59 公開

ボリス・ジョンソン英首相は1日午前、BBCの報道番組「アンドリュー・マー・ショー」に出演し、欧州連合(EU)離脱や安全保障、労働党についてなど、さまざまな質問に答えた。BBCのリアリティーチェック(ファクトチェック)チームが、首相の発言を検証する。

発言1:イギリス政府は対テロ捜査に追加予算を投じる

11月29日午後にロンドン橋近郊で起きた襲撃事件を受け、テロ対策について話していたジョンソン首相は、「(2020年に行われる)歳出計画の見直しで、テロ対策に多額の資金を投資する。テロ対策にはさらに1億6000万ポンド(約225億8000万円)を投じる」と話した。

ジョンソン政権は9月に2020/2021年の予算案を発表したが、そこではテロ対策費の増加はインフレ率の上昇幅にとどまるとしていた。

この計画には、「2018年度予算で発表された1億6000万ポンドの増額」をもう1年継続するという約束も含まれている。

実際には、2018年度予算でテロ対策費は5900万ポンドしか増えていない。これは前年度から8%の増加だ。

1億6000万ポンドという数字は、2019/20年の歳出予想額と、2015年の歳出計画で発表された額の差額に当たる。

発言2:労働党のジェレミー・コービン党首は情報局保安部(MI5)を解体すると発言した

BBCニュースは保守党に対し、この発言の証拠を提示するよう求めているが、返答はまだない。一方、最大野党・労働党は、この主張を否定している。

この主張の発端は2015年の総選挙にあるかもしれない。選挙期間中、「労働党の勝利のための社会主義者の活動」という団体が数々の要求を出し、この中に「MI5の解体」が含まれている。

この声明には、影の財務相を務めるジョン・マクドネル議員が署名している。

報道によるとマクドネル氏は事実を認めているものの、証明したことは間違いだったと話しており、MI5の解体は支持しないとしている。

また、ダイアン・アボット影の内相も1989年にMI5解体を要求する動議に署名しているが、現在は要求しないとしている。

発言3:女王の演説を議会が否決した

イギリスでは議会の新しい会期が始まる際、君主が政府の施政方針演説を読み上げる。演説の内容は議会で審議され、採決にかけられる。

10月15日始まった議会でのエリザベス女王の演説は、24日の採決で16票差で可決している。

発言4:政府は既に受刑者の早期釈放を中止している

ジョンソン首相は番組内で、「私は8月に、重犯罪者を自動的に早期釈放することはもう認めないと話した。女王の演説には、早期釈放を阻止する法案が入っており、それに取り組んでいる」と話した。

女王の演説には、「重犯罪あるいは性犯罪で4年以上の禁錮刑が科せられた者が自動的に仮釈放される時期を、刑期の半分から3分の2に変更する」とする刑法案が示されている。

また、受刑者のうち「危険」と判断された者には既に、刑期の3分の2以上を服役しないと釈放されない「加重定期刑」を受ける。現在、こうした受刑者は約250人いる。

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発言5:国民保健サービス(NHS)への投資額は近年最大

ジョンソン氏はNHSについて、「多額の投資を計画している。近年最大の340億ポンドだ」と述べた。

確かに、保守党のNHSイングランドへの投資拡大計画は、金額で言えば340億ポンドになる。しかしインフレ率を加味すると、実際には2023/2024年までに205億ポンドの増額にとどまる。

年率3.2%の増加だが、英保健財団によると、これは1997~2010年の労働党政権下での6%を下回っている。

さらに、この投資拡大の大部分は総選挙が決定される前に発表されていたものだ。保守党のマニフェストでは、保健への歳出は2023年から2024年の間に29億ポンドしか増えないことになっている。

シンクタンクの財政研究所(IFS)によると、これはもともと計画されていた金額からわずか0.3%しか増えていない。

(英語記事 Boris Johnson's interview with Andrew Marr fact-checked