これらのことは、あくまで筆者の予測にすぎないが、通常の会計士や弁護士、M&Aの従事者などに相談すればこの方法を提案するだろう。

 さて、今回の問題は、決して対岸の火事ではないだけに、国としての法整備や規制、規制緩和をしっかりと見直す必要があるので下記に明示しておきたい。

 まず、公有財産である契約に関するもの。

①公共資産の貸し付けなど民間との契約には、行政の監視ができる仕組み、ガバナンス(統治)がきく仕組みをつくる。
②会社の経営状況の把握は一般的に決算書の提出を義務付けているが、形式的になっているため、経営状況の把握は月次ベースにし、年度ごとの監査義務、さらに法令違反などがあった場合、契約解除を迅速にできるよう指導できる仕組みをつくる。


 次に、ストライキに関するもの。

①ストライキは効果が限定的であり、ストライキを実施する場合に、行政としてセーフティネットを提供する。一方で、過剰なストライキを抑制するために、供託金を積ませるなどの経営サイドのセーフティネットも確立する。
②労組が強すぎるとリストラが困難になるため、経営危機の際に労組の活動を制限する法整備を進める。
③経営者のガバナンスがきかないため、行政として監視できる法整備も進める。中小企業オーナーのずさんな経営を行政として監督、指導などができる仕組みも必要。


 そもそも、日本の政治はこれまで、右派VS左派、資本主義VS社会主義で、行きつく先は、資本家VS労働者となり、自民党VS労組が縮図だった。ゆえに、労組はイデオロギーなども混在し、左傾化という課題もはらんでいる。米国では大統領の民主党候補争いで、サンダース上院議員よりさらに極左のウォーレン上院議員の旋風が吹き荒れているが、日本でも労働者に株を保有させる政策は、今後提起されるだろう。

 筆者は、従業員が株を保有することを否定しない。その場合、リスクや責任も明確にして経営責任を共有できれば、会社のガバナンス改革と働き方改革、イノベーションは加速すると思っている。

 振り返れば、アベノミクス以降、右派も左派も「最低賃金を千円、賃上げを2%以上しろ」と声を上げるようになった。自民党からベアの言葉が出るといった状況は、歴史的に見てもアベノミクスが初めてではないか。時給「1500円」時代も現実味を帯びており、今回の佐野SAのストライキは、「ストライキ推進法」のようなものが、左派から提起されてもおかしくはない。その入り口にあるリスクの大きな問題だと思う。
佐野サービスエリアの上り線のレストラン前で横断幕を持つ従業員ら=2019年11月、栃木県佐野市
佐野サービスエリアの上り線のレストラン前で横断幕を持つ従業員ら=2019年11月、栃木県佐野市
 再度念を押しておくが、筆者は、佐野SAのストライキ問題において、経営者の暴走も、労働者のストライキもどちらも支持しない。そもそも、今の日本の中小企業でストライキをやっても、経営側と「和解」できる可能性は極めて低い。労働者が経営者を尊敬できなくなったら中小企業は事実上の終わりで、倒産に向かうだけだ。

 一方、経営者の能力が低いことも課題であり、働く側にとっても不幸である。日本経済を支える中小企業の経営者の新陳代謝、経営力強化と労働者の能力開花の推進と権利をどう守っていくのかを、本格的に再考すべき事案の象徴であろう。