2019年12月04日 15:59 公開

マット・マグラス環境担当編集委員

国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)がスペイン・マドリードで開催される中、石炭の使用量が減少している一方で、今年の二酸化炭素(CO2)排出量がわずかに増加しているとする報告書が4日に公表された。

世界の炭素収支を報告している「グローバル・カーボン・プロジェクト(GCP)」の炭素の排出傾向に関する年次分析によると、2019年のCO2排出量は0.6%増加する見込み。

石油やガスの使用が、大きく増加し続けていることが要因という。

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気候変動対策の国際的枠組み「パリ協定」が2015年12月に採択されて以降、CO2排出量は4%上昇した。

昨年は、3%近い大幅な上昇がみられた。主な要因は中国での石炭需要によるもの。また、SUV車などの世界の自動車市場が好調なことから、石油需要も急増した。

研究の許容誤差は大きいため、もしも今年のゆるやかな上昇が本当に上昇なのだとすれば、化石燃料の需要における重要な変化を反映していることになる。

世界の石炭使用によるCO2排出量は1%弱減少した。しかし、そこにはアメリカや欧州連合(EU)で大幅に減少しているという事実が隠されている。

「2019年の大半を通して、石炭の使用量は世界的に増加するとみられていた。ところが実際には、中国やインドでの経済動向は予想よりも鈍かったほか、インドでは強烈なモンスーンによって記録的な水力発電量に達したため、石炭使用量の増加予測に変化をもたらした」と、GCPの一部であるオスロ国際気候環境研究センター(CICERO)のロビー・アンドリュー上級研究員は話す。

「アメリカやEU加盟28カ国では、石炭使用量は大幅に減少している。おそらく2019年だけで共に10%近く減少しており、世界的石炭使用量の削減に一役買っている」

一方で石油やガスの使用量は上昇を続けたため、石炭使用量の減少分は相殺された。ガス使用量は2.6%上昇し、風力発電や太陽光発電といった再生可能エネルギーもまた、大幅な上昇をみせた。

しかし、こうした環境にやさしい燃料は、化石燃料の排出量増加を遅らせただけにすぎないと、CICEROのグレン・ピーターズ博士は指摘する。

「石炭と比べれば天然ガスはよりクリーンな化石燃料ではあるが、絶え間ない天然ガスの使用によって、石炭よりもゆっくりなスピードで地球を温めることにしかならない」

GCPの研究者によると、化石燃料ベースの技術を継続して使うことが、パリ協定で設定した目標を脅かしているという。

英イーストアングリア大学のコリーヌ・ル・ケレ教授らは、「この報告内容は、今年のいいニュースではない。排出量はいまだに増え続けているので。我々は状況を改善してはいるものの、再生エネルギーの提供やCO2を排出するテクノロジーの排除に関して言えば、もっと対策を講じる必要がある」としている。

排出量のデータでは、国レベルでの興味深い変化が確認できるという。アメリカでの排出量は、2005年以降、毎年約1%減少しており、こうした傾向は2019年も続いているという。

中国では、排出量が2.6%増加する見込みだが、経済動向が鈍くなく電力需要がもっと高ければ、排出量はもっと上昇していた可能性がある。インドも同様で、経済成長が滞ったことで排出量は1.8%増にとどまる見通し。

今回公表されたデータは、危険な気温上昇を回避するための、迅速な炭素削減目標を達成するという点で、世界がどれだけ遅れをとっているかを示しているにすぎない。

ルケレ教授は、「現在、気候変動対策を強化している国はたくさんあるが、それではまだ十分ではない。(中略)全力で取り組む国が足りていない。依然として排出量の多い国に期待が寄せられている。2020年は気候変動にさらされている国々にとって、本当に重要な年になるだろう」

(英語記事 Carbon emissions edge up as coal use falls