竹嶋渉(元在韓ジャーナリスト)

 去る11月24日午後、韓国の女性アイドルグループ「KARA」の元メンバーであるク・ハラさん(28)が自宅で亡くなっているのが発見された。すでに広く報道されているが、ク・ハラさんの死は、韓国国内はもちろん、日本を含む海外の韓流ファンにも大きな衝撃を与えた。特に、ク・ハラさんの自殺の40日前には、同じく韓流スターであるソルリさん(26)が自殺していたため、その波紋はさらに大きいものとなった。

 ク・ハラさんは1991年、韓国西南部・光州生まれ。2008年にKARAに加入し、芸能界デビュー。2016年までシングル12枚、アルバム5枚を発表。韓国と日本で活発な活動を繰り広げた。この時期、「少女時代」「東方神起」らと共に「第二次韓流ブーム」の中心となった。2016年にKARAが実質上解散した後もバラエティー番組や音楽番組などで高い人気を誇っていた。

 ク・ハラさんは日本でのライブツアーを終え、22日に韓国に帰国した。自宅に到着した時刻は24日午前0時35分だったとみられている。24日の午後6時になって、家政婦が自宅の1階で冷たくなっているク・ハラさんに気付き、警察に通報した。警察は6時9分にク・ハラさんの死亡を確認している。ク・ハラさんは前日の23日には写真共有アプリ「インスタグラム」に自分の写真を掲載し、写真とともに「おやすみ」という書き込みを残していた。予期されなかった自殺であったため、衝撃は大きかった。

 警察の捜査によると、監視カメラの映像を分析した結果、ク・ハラさんが帰宅してから、同日の午後6時まで、外部の人物が訪ねてきた痕跡はなかったとしている。他殺の可能性がなかったことから、遺体の解剖は行われなかった。

 当初、彼女の死因についての詳しい報道はなかったが、その後、自筆メモが発見され、自殺の可能性がささやかれ始めた。このメモは自宅1階の居間のテーブルの上に置かれていたもので、短い内容であったが、自分の身の上を悲観する内容であったと言われる。その内容は公開されなかったため、自殺の原因についてさまざまな臆測がなされることになった。

 まず、原因と目されたのが、「アクプル」と呼ばれるネット上の書き込みである。「アク」は「悪」の韓国漢字音、「プル」は「reply(リプライ)」の略。要するに他人を誹謗(ひぼう)中傷するアンチ・コメントのことである。
再始動第1弾シングル「Midnight Queen」の発売記念トークショーを行った韓国女性グループ、KARAの元メンバーで歌手のHARA=東京・東池袋のサンシャインシティ噴水広場
再始動第1弾シングル「Midnight Queen」の発売記念トークショーを行った歌手のク・ハラさん=2019年11月8日、東京・東池袋のサンシャインシティ噴水広場
 韓国のネットニュースには、配信元を問わず例外なくコメント欄が設けられている。日本同様、注目度の高いニュースには数百、数千のコメントが書き込まれる。韓国はネット・インフラの整備がアジアで最も早く進んだことから「ネット先進国」「オンライン強国」を自負しているが、残念ながら、ネット利用者の意識やモラルはお世辞にも先進的とは言えない。

 人種や特定地域に対する「ヘイトスピーチ」顔負けの酷(ひど)い書き込みが行われることなど日常茶飯事だ。時には政治的な目的や商売上の利益のために、アルバイトを雇って大量の書き込みを行い、世論を誘導しようして発覚するという「事件」もたびたび発生している。