ユーチューバーたちも負けてはいなかった。ク・ハラさんの死亡原因に対する「分析」「陰謀論」をネタにして、注目度を上げ、アクセス数稼ぎに熱を上げていた。「故人をアクセス数稼ぎに利用するな」という批判も、視聴者数が収入に直結しているユーチューバーには大した効果があったようには見えない。ソルリさんの死後には、彼女の交際相手を自称するユーチューバーの動画や、ソルリの霊が降臨したと称する霊媒のユーチューブ映像が批判を浴びたが、結局同じことが繰り返された形だ。

 ク・ハラさんの自殺に関連して、悪質コメント以外の原因として指摘されているのが、元交際相手による暴行・リベンジポルノである。

 ク・ハラさんは昨年9月、元交際相手に暴行され、リベンジポルノを公開するといった脅迫を受けたとして、元交際相手であった男性を刑事告訴。法廷での攻防の末、今年の8月29日、ソウル中央地方裁判所は、この元交際相手に対して懲役1年6月、執行猶予3年を言い渡した。元交際相手は判決を不服として、高裁に控訴している。

 これは暴行に対する判決であって、リベンジポルノに対しては「性関係のある両人の合意のもとに撮影された」として、無罪が言い渡された。この男性は有名美容師で、裁判の最中に自分の美容室を開業している。ク・ハラさんが自殺未遂を起こしたのはその直後のことだ。

 この裁判に対しても数多くの悪質コメントがネット上で書き込まれ、ク・ハラさんは自分の会員制交流サイト(SNS)に「辛(つら)くても辛くないふり」「一言の言葉が人を生かすこともできるし、殺すこともできる」「幸せなふり、大丈夫なふりは、もうやめたい」といった真情を吐露している。

 この裁判に対しては、去る11月29日、女性団体が裁判所の前で一審の判決に抗議する集会を開いている。リベンジポルノを公開するとの脅迫を裁判所が無罪としたことに対する抗議であるが、司法判断を糾弾して済む問題ではない。

 この裁判を散々ネタにしてきたイエロージャーナリズム(扇動的なニュースを売り物にする報道機関)、それを面白がって大量の悪質コメントを書き込んでいた一般大衆も同じく糾弾の俎上(そじょう)に上げられるべきだろう。彼らがク・ハラさんを死に追い込むのに一役買ったのは、厳然たる事実だからだ。

 実は、ク・ハラさんの自殺が報じられた後、元交際相手が公開を予告していたリベンジポルノをネット上で販売するとの書き込みがあちこちでなされた。彼女の死後にも、故人の死をネタにして、モラルの欠如した大衆相手に金もうけをたくらむ輩が存在したのである。
第40回ベストドレッサー賞2011発表・授賞式。元KARAのク・ハラ=東京・渋谷のセルリアンタワー東急ホテル(撮影・戸加里真司)
第40回ベストドレッサー賞2011発表・授賞式。元KARAのク・ハラ=2011年11月30日、東京・渋谷のセルリアンタワー東急ホテル(戸加里真司撮影)
 今回のク・ハラさんの自殺の原因を巡っては、この他にもさまざまな臆測がささやかれている。その決定的な原因が何であれ、無責任な報道と、その報道に扇動された大衆、そしてその大衆を相手に一儲けを企む輩が、手を組んで起こした「社会的殺人」であったことに疑いはない。

 ク・ハラさんの自殺後、韓国国内ではその死を悼む声が大きいが、彼女が死に至った過程を徹底して検証し、報道の在り方とその受け止め方を真摯(しんし)に自省しなければ、第二、第三のソルリ、ク・ハラが生まれるのは必定(ひつじょう)であろう。謹んで彼女の冥福をお祈りするとともに、こうした事件が再発しないことを切に祈りたい。