2019年12月06日 12:49 公開

ヒョンウン・キム、BBCニュース韓国

韓国の情報当局者が、北朝鮮から逃げて来た女性を強姦した疑いが持ち上がっている。2人の当局者が関わり、うち1人は繰り返し女性を虐待していたとされる。

被害にあったとされる女性の弁護士によると、女性は情報当局の男性2人の監視下に置かれていた。中絶を2回強制されたという。

当局者の1人は中佐、もう1人は上士官で、共に停職が命じられているという。当局は調査を開始した。

人権活動家は、脱北した女性は韓国の女性より性暴力の被害に遭いやすいと指摘している。

ただ、経済的な事情から、被害女性は声を上げにくいとしている。

飲酒後に意識ない状態で

脱北者に対しては、韓国国防省の情報当局が調査と情報収集を担当している。

法律事務所グッド・ロイヤーズのBBCへの説明では、脱北した女性は今年になって、情報当局の男性2人が担当についた。

この女性が酒を飲んで意識を失った際、最初の強姦被害に遭った。

上士官には数十回、中佐からは1回強姦されたという。

国防省は、女性側の被害の訴えについてすでに調査し、軍の検察に関係書類などを送ったとしている。

同省の崔賢洙(チェ・ヒョンス)報道官は、容疑がかけられている当局者について、「捜査の結果を受け適切に扱う」と述べた。

韓国に来る前に性暴力

韓国に約3万3000人いる脱北者のうち、72%超が女性だ。

脱北した女性を支援している人権活動家はBBC韓国の取材に、「多くの脱北者は韓国に来る前に、中国で性暴力を経験している」と述べ、こう加えた。

「彼女たちはそれに耐え、韓国に着いたときには、自分はすでに汚されていると考える人もいる」

人権団体コリア・フューチャー・イニシアティヴ(Korea Future Initiative)によると、脱北した女性や少女たちが数千人規模で、中国の性産業で働かされているという。

多くは、北朝鮮を出てから1年以内に、何らかの形態の性奴隷にされていたとされる。

「がまんすべき」

韓国でセクハラ被害者を支援する「MeToo(私も)運動」が盛り上がった2018年、人権活動家は脱北した女性たちに、同運動をどう思うか聞いた。すると、「何の役に立つのか」、「恥をさらすだけ」、「ただがまんすべき」といった答えが返ってきたという。

「彼女たちは、声を上げることに慣れていない。性暴力について学んだり、人権尊重を訴えたりしたこともない」と活動家は言う。

「性暴力を受けても、それが犯罪だとは思わない。犯人が罪に問われたり、被害者は賠償を受けたりできることも知らない」

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背景に経済的苦境

脱北した女性たちが黙っている最大の理由は、生計を立てることを最優先しているからだと、人権問題の専門家たちは指摘する。

「彼女たちは『生き延びないといけない。食べて生きていかないとならない。まずそれが大事』と話す」と、人権活動家は言う。

韓国統一研究院の2017年の統計では、韓国国民の平均月収が240万ウォン(約22万円)なのに対し、脱北者の平均月収は約190万ウォン(約17万4000円)だった。

脱北者の失業率は6.9%で、韓国国民の2倍近い高さになっている。

こうした状況にもかかわらず、北朝鮮人権データベースセンターによる脱北者約400人を対象とした調査では、61%が北朝鮮に残る家族に送金していた。今後も送金を続けると答えた人は58%に上ったという。

(英語記事 South Korean agents accused of raping defector