2019年12月10日 12:06 公開

世界反ドーピング機関(WADA)は9日、ロシアのドーピング不正にまつわるデータ改ざんに関して、ロシア選手団を4年間、国際的な主要大会から除外すると決定した。2020年東京五輪・パラリンピックやサッカーの2022年ワールドカップ(W杯)カタール大会も対象となる。ドーピングと無関係だと証明した選手のみ、個人としての出場を認めるが、ロシア国旗の使用は認められない。

WADAはスイスのローザンヌで臨時常任理事会を開き、ロシアへの厳罰処分を全会一致で決めた。

処分決定に先立ちWADAのコンプライアンス(法令順守)審査委員会は、ロシア反ドーピング機関(RUSADA)が2019年1月に提出したモスクワの検査所の検査データに「多数の矛盾が見つかった」として、RUSADAの改革状況が法令を順守していないと判断していた。

ロシア選手団は2015年に国家ぐるみのドーピング問題が明らかになり、国際大会から3年間排除される処分を受けていたが、WADAは2018年9年に処分解除を決定。この決定には批判や異論も多かった。その処分解除の条件が検査所データの全面提供だったが、WADAはそのデータに改ざんがあったと認め、今回の厳罰処分に至った。

ロシアは21日以内にWADAの決定について、不服を申し立てることができる。その場合、最終判断はスポーツ仲裁裁判所(CAS)に委ねられる。

国際オリンピック委員会(IOC)は、WADAの決定を「支持する」と表明している。

国際サッカー連盟(FIFA)は、WADAの決定に「留意」するとして、「その決定がサッカーにどう影響するか明確にするため、WADAに接触している」とコメントした。

国際パラリンピック委員会(IPC)は、「モスクワの検査所のデータがWADAに移管されるまでに改ざんされた問題の当事者は、スポーツ界全体が支持し守っている公平でクリーンなスポーツという大原則を、とことん損なった」とコメント。「世界のスポーツ界に対する敬意を徹底的に欠いている行為はまったく受け入れがたく、スポーツ界にあってはならない。このデータ改ざんの当事者たちが処罰を受けるのは当然だ」と批判した。

一方で、ロシアはサンクトペテルブルグで行われる2020年サッカー欧州選手権の4試合には出場できる。WADAが反ドーピング違反について欧州サッカー連盟(UEFA)を「主要大会組織」と定義していないからだという。

告発し亡命した元所長「ついに」

ロシアが国ぐるみでドーピングをしていると暴露した後、アメリカに亡命したグリゴリー・ロドチェンコフ元RUSADA所長は、「まだやるべきことはある」とコメント。「言葉にならないほどの大々的なまやかし、詐欺、うそと改ざんが、ついに徹底的に処罰された」と述べた。

「陸上や重量挙げ、スキー、バイアスロン、ボブスレーといった特定の競技の汚した関係者は、遡及的に処罰されるべきだ。ロンドン五輪とソチ五輪の競技結果は、現在得られている知見をもとにあらためて分析し、再検討すべきだ」

「2012年ロンドン大会の標本を分析し直すには、猶予は数カ月しかない。WADA規則では、再検討期間は8年に限られているからだ」

「ずるをしたロシアの選手たちによって、夢をあきらめ入賞を逃すというつらい思いをしたクリーンな選手たちが、一定期間の間に大勢出た。スポーツに正義を取り戻すため、最も強力な対応が必要だ」

「慢性的な反ロ・ヒステリー」と首相

ロシアのドミートリー・メドヴェージェフ首相は、WADAの決定に反発し、「慢性的な反ロシア・ヒステリー」の一部だと批判した。

「ロシアに、この国のスポーツ界にまだ相当のドーピング問題が残っているのは明らかだ。それを否定することはできない。しかしその一方で、こうした処分が繰り返され、すでに何らかの形で処罰を受けた選手にも影響を与えるなど、慢性的になった反ロシア・ヒステリーの一部だと思えてしまう」と首相は述べた。

ウラジーミル・プーチン大統領は、不服申し立てをするだけの根拠は揃っていると、争う姿勢を示した。

「クリーンな競技の妨げ」

一方で、WADA会長のサー・クレイグ・リーディーは、今回の処分決定は「ロシアのドーピング問題を前に断固たる対応をとるという決意」の表れだと説明。「もうあまりに長いこと、ロシアのドーピングはクリーンな競技を妨げてきた。RUSADAの復権条件をロシア当局が実にあからさまに破ったため、強力な対応が必要だったし、まさにその通りの決定をした」と述べた。

「ロシアには自国内の状態を立て直し、自国の選手やスポーツの正しいあり方のために世界の反ドーピング・コミュニティーに戻れるよう、あらゆる機会を与えていた。それでもロシアは、不正と否定という従来の方針を継続することを選んだ」と、リーディー会長は強い調子で批判した。

WADAのリンダ・ヘレランド副会長はさらに、今回の処分は「不十分」だと指摘。「軽くすることのできない厳しい制裁を科すべきだと私は思っている。クリーンな選手たちを尊重するためにも、ドーピングはできるだけ厳しく処罰すべきだ」。

ロシア選手団は自国開催の2014年ソチ五輪での組織的ドーピングについて処分を受け、2018年の平昌五輪では計168人の選手が五輪旗のもとで個人として参加した。ソチの冬季大会ではロシア選手33人がメダルを獲得し、そのうち13個が金だった。

(英語記事 Russia banned for four years to include 2020 Olympics and 2022 World Cup