2019年12月10日 12:42 公開

ニュージーランド北部ホワイト島で9日に発生した噴火で、5人が死亡し、8人が行方不明になっていると警察が明らかにした。噴火当時、観光客47人が噴火口付近にいたが、34人は無事だったという。

助かった34人のうち31人は、現在も病院で手当を受けているという。

プレンティ湾に面したファカタニで取材するBBCのサイモン・アトキンソン記者によると、病院で手当てを受けていた人のうち、これまでに3人が退院した。それ以外の人は、小さな町の施設では治療ができないほど重傷で、国内の専門機関へと移された。多くが重篤な状態だという。

在ウェリントン英高等弁務官のローラ・クラーク氏によると、イギリス人女性2人も手当てを受けている。

スコット・モリソン豪首相は、死亡が確認された5人のうち3人がオーストラリア人なのではないかと「恐れて」いると述べた。

モリソン首相によると、プレンティ湾にあるホワイト島を探索するクルーズ船には噴火当時、オーストラリア人24人が乗船していた。そのうち13人が入院中で、11人が行方不明だという。

首相はシドニーで、「これはひどい悲劇だ。噴火の恐怖によって、無邪気に楽しむ時間が台無しになった」と記者団に話した。

行方不明者の中には、オーストラリア人のほかアメリカ人、中国人、マレーシア人、ニュージーランド人が含まれる。

ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は10日、記者会見で、大切な人を失った人々の「計り知れない悲しみ」を共有していると述べた。首相は、「我々のオーストラリアの家族に伝えたい」と切り出し、「我々はここで起きたことに打ちのめされている。オーストラリアから来た人々がこの恐ろしい、恐ろしい事故に巻き込まれた」と述べた。

噴火直前には、噴火口の内側を歩く観光客の様子が目撃されている。アーダーン首相は、今後の捜索は「非常に残念なことに遺体の回収作業」になると述べた。

救出作業は難航

生存者はボートやヘリコプターで無人島を後にした。

アーダーン首相は、「極めて危険な状況の中」、島にいる人々を救出するという「非常に勇気のある決断」を下したヘリコプターのパイロットらに敬意を表した。

ホワイト島では噴煙や、火山灰が降り続けており、これまでのところ救急隊は現場に近づけずにいる。

ブルース・バード警視は、島が安全な状況になれば捜索を行うと説明。ウェリントンの科学技術委員会から、島に戻る時期についてさらなる助言があることを期待すると述べた。しかし、偵察飛行では生存者は確認されていない。


ホワイト島で何があったのか

ホワイト島は9日午後2時11分(日本時間同午前10時11分)に噴火した。

午前中の観光ツアーを終えて島を離れるボートに乗っていたマイケル・シェイドさんは、爆発した火山から噴煙が立ち上る様子を撮影して、ツイートした。

https://twitter.com/sch/status/1203894241413304320


シェイドさんはBBCに対して、自分は噴火のちょうど30分前に噴火口にいたのだと話した。

「その時はまだ安全ぽかったけれども、(火山を訪れる人数を)制限しようとしていた」という。

噴火の様子については、「自分たちはボートに乗ったばかりで……。誰かが気づいて指差したのでみんな目にしたんです。ともかくびっくりしてしまった」と言い、「ボートはすぐに島に戻って、桟橋で待っている何人かを乗せた」のだと話した。

別の目撃者、ブラジル出身のアレッサンドロ・カウフマンさんもぎりぎりのところで、噴火に巻き込まれずに済んだ。

「この日は火山を訪れたツアーは2組で、自分たちは最初の1組だった。噴火する5分前に島を離れた」と、カウフマンさんはインスタグラムにポルトガル語で投稿した。

「すぐ後に到着したもう1組は残念ながら、逃げるのが間に合わず、重傷のやけどを負った人たちもいる」

火山のライブカメラ映像では、映像が消える直前に噴火口内に数人の観光客がいる様子が見える。

誰が噴火に巻き込まれたのか

噴火に巻き込まれた人の情報はほとんど分かっていない。一部は、先週シドニーを出発した、ロイアル・カリビアン社所有のクルーズ船「Ovation of the Seas」の乗客だった。

ニュージーランド赤十字は、家族が行方不明者の情報を登録できるよう、ウェブページを立ち上げている。

なぜ観光客はホワイト島に?

「ワカアリ」とも呼ばれるホワイト島は、ニュージーランドでも特に活発な火山のひとつ。観光地として人気で、2011年以降に噴火が起きてはいるものの、日帰りツアーや観光フライトがたくさん行われている。最後に噴火したのは2016年。当時は負傷者はいなかった。

地質学的な危険の可能性をモニターするウエブサイト「GeoNet」は、火山活動情報をツアー会社や警察に公開しているが、実際に島を訪れるかどうかは、観光客自身が判断する。

GeoNetは12月3日、ホワイト島の火山が「噴火活動が通常以上にあり得る時期に入りつつあるかもしれない」と警告していた。ただし同サイトは、「現在の活動レベルは訪問者に直接の危険を与えるものではない」とも付け加えていた。

ニュージーランドのウェブメディア「Stuff」によると、島に入る観光客にはヘルメットやガスマスクが配布されるほか、適切な靴を着用しなければならないという。


ニュージーランド・ヘラルドによると、ホワイト島を管理するホワイト・アイランド・ツアーズは、ウェブサイトで、観光客は「警戒レベルに関わらず、常に噴火活動の危険があることを自覚する必要がある」としている。

同社のポール・クイン会長は、今回の噴火は「ひどい悲劇」だとした上で、同社の「思いと祈りは被害を受けたすべての人と共にある」と述べた。


(英語記事 Five dead, eight missing in New Zealand eruption