新見正則(公益財団法人愛世会理事長)

 僕はタバコの煙が大嫌いです。タバコのにおいがそこそこある場所にいると、気にならないこともありますが、タバコのにおいが全くしない環境では、はるか遠くのタバコの煙にも気がついてしまいます。

 そんなタバコ嫌いの僕ですが、競技会場の敷地内を全面禁煙とする2020年東京五輪・パラリンピックの「タバコのない五輪」というキャッチフレーズは気に入りません。

 選手村は「原則禁煙」となり、アスリートがタバコを吸うことができるのは、限られた喫煙スペースになります。タバコを吸っても、金メダルを取ることができれば、それでよいではないですか。たくさんの犠牲を払って金メダルを目指すアスリートが、あえてタバコを吸うという選択肢を選ぶのであれば、それは尊重すべきです。法律に違反しているわけではありません。ましてやドーピング規定にも違反しません。

 このように、東京五輪で喫煙できる環境が極めて限られることに不公平さを感じます。喫煙環境の排除ではなく、分煙設備を設けることを望みます。アスリートに限らず、オリンピックを楽しむ観客も、同時にタバコを楽しむ設備があってもよいではないですか。

 もちろん、タバコが身体に悪いことをしっかりと伝えることは必要です。また、喫煙者の周りにいる人が受動喫煙による健康被害を受けるリスクも伝える必要があるでしょう。しかし、身体に悪いことは基本的に気持ちがいいのです。そんなリスクを承知でタバコを吸う人に対し、東京五輪の対応はあまりに酷です。だから僕は「タバコのない五輪」といったキャッチフレーズには大反対です。

 僕の趣味はトライアスロンです。泳いで、自転車に乗って、そして走ります。50歳まで金槌(かなづち)でしたが、50歳で健康のために水泳を始めました。凝り性なので、自分の努力に従って上達する、つまり日々進歩する自分を楽しんでいました。そして泳げるようになり、泳げる距離が伸びてくるに従い、他の有酸素運動にも興味を持ち始めました。そして自転車に乗り、ランニングを始めたのです。
※写真はイメージです(ゲッティイメージズ)
※写真はイメージです(ゲッティイメージズ)
 52歳で五輪と同じ距離のトライアスロンを完走しました。1・5キロを泳いで、40キロ自転車に乗り、10キロを走ります。そして凝り性な僕は、合計236キロに及ぶ日本最長のトライアスロンを53歳で完走しました。