海外で若者を中心に流行している電子タバコには、ニコチンが含まれているが、日本製の電子タバコにニコチンを含有させることは、医薬品医療機器等法(旧・薬事法)で禁止されている。従って、日本製は健康増進法や都条例でもタバコの規制を受けない。

 しかし、問題は海外から大量に持ち込まれるであろう海外製電子タバコの規制である。米国疾病予防管理センター(CDC)は今秋、電子タバコにより2051例の肺疾患が発生し、39例が死亡したと発表した。原因として添加物のビタミンEアセテートによるリポイド肺炎が疑われている。

 その被害を受けて全米各州で電子タバコを禁止する動きが広まりつつあるが、メーカー側は一部のフレーバー付き銘柄の製造を中止したのみだ。東京五輪の際に全面禁止になっていなければ、海外製電子タバコの規制は、紙巻きタバコと同様に厳格にすべきで、「指定タバコ」などに分類すべきではない。

 競技会場以上に心配されるのが選手村である。選手村は原則禁煙で、動線から離れた場所に喫煙所を設けるとしている。宿舎はプライベート空間ではあるが、五輪後は民間住居として提供されるのであるから、シックハウス症候群の原因となる喫煙は厳禁、違反者にはペナルティーを科すべきである。

 加熱式および電子タバコによる肺疾患はすべて急性影響であり、選手村などで使用された場合、急性の重篤な健康被害が生ずる可能性がある。東京五輪では、そのような事態を予防するためにも「加熱式および電子タバコの使用禁止」を明確に宣言し、「初の電子タバコ禁止五輪」とすべきである。

 ロシアは世界アンチ・ドーピング機構(WADA)から国ぐるみのドーピング不正を摘発され、国としては五輪に出場できず、潔白が証明された選手のみが個人資格での参加を許可されている。カナダなど大麻が合法化されている国もあり、最近も芸能人逮捕で話題になった合成麻薬のMDMAなど、麻薬の使用も懸念される。もちろん、ドーピング検査により、大麻や麻薬の違反者は摘発される。

 また、競技12時間前から競技直後の検査で、ニコチンはカフェインと共に検査される。しかし、検出されてもドーピング違反にならない監視プログラム物質(興奮薬)の中に分類されている。カフェインはともかく、依存性のある毒物ニコチンは違反物質に分類されるべきである。

 まず、求められることは競技場内で参加者や観客に、明確に完全禁煙の方針を周知徹底することであり、さまざまなツールや機会をとらえての多言語による広報・発信である。

 第二に、スタッフやボランティアが、競技場内外で喫煙しないことは当然だ。そのためにも喫煙者の方々は、ぜひ今からでも禁煙にチャレンジして、五輪を迎えてほしい。次回の五輪からは、スタッフやボランティアは、非喫煙者に限るという方針を採るべきであろう。

 第三に、東京五輪のタバコ対策を十分に理解することが求められる。そのための教育プログラムとして、グローバル・スタンダードであるWHOの「タバコ規制枠組条約」(FCTC)について、周知・徹底しておくべきである。日本はFCTC批准国でありながら、東京五輪競技の場内ではFCTC水準、場外ではその水準に達していないことも啓発すべきである。
米ニューヨークで電子たばこを使用する人=2014年2月(AP=共同)
米ニューヨークで電子たばこを使用する人=2014年2月(AP=共同)
 悪質な違反に対しては、スタッフやボランティアが、大会本部に申告する制度を設け、度重なる悪質違反者については、大会本部から氏名や国名を公表するなどの不名誉を科すべきだ。