2019年12月16日 16:22 公開

ドナルド・トランプ米大統領の弾劾をめぐり、推進する立場の野党・民主党の指導者たちが15日、与党・共和党に対し、党の路線を超えて共同歩調を取るよう呼びかけた。

下院は「大統領権限の乱用」と「議会妨害」の2項目からなる弾劾訴追決議案を、13日に司法委員会で可決。今週にも本会議での採決が見込まれている。

2項目の弾劾訴追決議案は別々に採決にかけられ、可決されれば、上院で弾劾裁判が始まる。

下院は民主党が多数派だが、上院は共和党が多数を占めている。そのため、民主党が求めている罷免が実現する可能性はほとんどない。

「明確で差し迫った危機」

民主党のアダム・シフ議員(下院情報委員長)は15日、米放送局ABCの番組に出演。トランプ氏が現在もウクライナと中国に対し、政敵のジョー・バイデン前大統領(民主党)と息子のハンター氏の捜査を強く求めていると主張した。

また、トランプ氏個人の顧問弁護士ルディ・ジュリアーニ氏がいまもウクライナに出かけ、「いんちきの」調査を指揮していると述べた。

シフ氏はそのうえで、「私たちの民主主義にとって明確で差し迫った危機であり、下院共和党が義務を果たすのを拒むからと言って、向き合うのを避けて済むものではないと思う」と強調。

「もしバラク・オバマ前大統領が絡んでいたら(中略)共和党議員が全員、彼の弾劾に投票しただろうことは疑いない」、「私も彼の弾劾に投票しただろう」と述べた。

「外国の介入求めている」

一方、民主党のジェリー・ナドラー議員(下院司法委員長)はABCに、アメリカの選挙の公正性、信頼性が脅かされ続けていると主張。

「これは1回きりではない」、「弾劾は過去の行為に対する罰ではない。現在の大統領は共謀し、2016年大統領選で外国の介入を求めた。2020年大統領選でも堂々と外国の介入を探っている」と述べた。

弾劾反対の民主党議員も

下院の民主党は共和党を36議席上回る。これまで、民主党議員で唯一、ジェフ・ヴァン・ドリュー氏がトランプ氏の弾劾に反対。近く、所属政党を変わるとみられている。

ヴァン・ドリュー氏は13日にトランプ氏と会談。トランプ氏はツイッターで、「ジェフの正直さに感謝する。民主党は全員、あなたが正しいことを知っているが、あなたと違って、そう言うだけの『ガッツ』がない」と述べた。

https://twitter.com/realDonaldTrump/status/1206083025018277889


BBCのアンソニー・ザーカー北米担当記者は、民主党議員の何人かが決議案の採決で棄権するかもしれないが、採決を止めることにはならないとしている。

弾劾は「自分に有利」

トランプ氏については、次期大統領選で対立候補になるかもしれないバイデン氏とその息子について、ウクライナに汚職捜査をさせようと働きかけた「権力乱用」の疑いがかけられている。

さらに、ウクライナへの働きかけについて下院が調査を始めると、これに抵抗し、妨害しようとした「議会妨害」の疑いもかけられている。

トランプ氏は不正行為を否定し、下院による弾劾調査を「魔女狩り」と批判。その一方で、こうした調査は来年の大統領選で自らに有利にはたらくと述べている。

(英語記事 Trump a 'clear and present danger to democracy’