平野和之(経済評論家)

 「Fish Sale」(フィッシュセール)というサイトをご存じだろうか。今秋に本格オープンしたばかりだが、筆者もメディアなどでオープン前から違法性を指摘していたこともあり、ネットを中心に非難が殺到、大炎上したという。

 フィッシュセールは、当初は4月1日オープン予定だったが、オープン告知の段階から非難が集まり、延期になった。どういったものかと言えば、要は一般の人が釣った魚を、個人や飲食店などに直接通販できるオークションサイトなのだ。

 サイトのトップページには、「世界初!?」「誰でも簡単に売ったり買ったりを楽しめる」「釣魚オークションスタート!!」などとうたっており、一見すれば、卸売りなどを通さず、中間マージンのない合理的なシステムに感じるだろう。

 釣り好きの筆者も、このシステムを何度も考えたことがある。そもそも、経済評論家なのか?と言われるほど、釣り業界では、釣り評論家、漁師、漁業アドバイザーが本業だと見られるぐらいだ。確かにいろいろやっているが、この業界、飯が食えるほど甘くない。

 大学時代、昼は漁師や釣りに関する記事を書き、夜は塾講師でアルバイトをしていた。なんとか食えないかと思いながら結局無理だと判断し、経済や経営の世界に移行した。それでも常に、フィッシュセールのような事業を考えてきたが、どうやっても無理なのだ。20年に及ぶ筆者の思いと、今後の漁業改革のために、本稿では問題提起と解決策を提示したい。

 オープンまもなく、フィッシュセールにこんなテスト投稿があった。内容は東京の荒川で釣ったスズキを冷凍で2日後に配送すると記載されていたが、配送は「常温」になっていた。当初はテストだとは分からなかったので、出品者は本当に釣りをしていないのではないかと思ってしまった。

 その後、ウェブ広告の代理店が「テスト投稿してみました」とプロモーションで告知していたので納得したが、そもそも釣り場の設定が、お世辞にもきれいとはいえない荒川となっていたことも違和感があった。
釣魚オークションサイト「Fish Sale」のトップページ
釣魚オークションサイト「Fish Sale」のトップページ
 通常、魚を売る側は、買い手が躊躇(ちゅうちょ)するような釣り場の魚を売るケースはほぼない。安価である理由をアピールしたかったのかもしれないが、冷凍を売ると表記したり、さらに依頼があれば生の状態の魚も2日後には売るかのような説明があったり、テスト投稿とはいえ、通常の魚の通販では考えられないことになっていたのだ。