前嶋和弘(上智大総合グローバル学部教授)

 「なぜ70歳代ばかりなのでしょうか?」。2020年の米大統領選挙について講演すると、いつもこの質問を受ける。

 確かに、民主党有力候補のジョー・バイデン前副大統領は現在77歳。支持率でバイデン氏を追うバーニー・サンダース上院議員が78歳、エリザベス・ウォーレン上院議員も70歳であり、トップ3には全て70代が並ぶ。

 さらに、2019年11月末に出馬表明したばかりのマイケル・ブルームバーグ元ニューヨーク市長も77歳だ。もしバイデン、サンダース、ブルームバーグの3氏が大統領になった場合、1期目を終えた時点で80歳を超える。

 これまで就任時の最高齢記録が70歳220日の現職のドナルド・トランプ大統領だったが、ウォーレン氏を含めて、大統領に就任すれば、この記録を大きく破ることになる。記録保持者のトランプ氏も2期目スタートは74歳になる。

 極めて高齢の候補ばかりが有力であることは否めない。なぜ、こんなにも高齢化しているのだろうか。明確な答えはないものの、二つの仮説を挙げてみたい。

 最初の仮説は、そもそも米大統領の経験者が長寿であり、年齢の高さが一般社会とは異なるという可能性である。

 1959年に69・9歳だった米国の平均寿命が、2016年には78・9歳まで上昇しているように、そもそも寿命が延びていることは間違いない。ただ、統計以上に大統領経験者は比較的長生きだ。
2019年10月、米ニューヨークの公園で開かれた大統領選の集会に出席したサンダース上院議員(ゲッティ=共同)
2019年10月、米ニューヨークの公園で開かれた大統領選の集会に出席したサンダース上院議員(ゲッティ=共同)
 第2次世界大戦が終結した1945年以降に就任した米大統領は13人いる。そのうち、直近30年で亡くなった大統領は一昨年94歳で死去したジョージ・H・W・ブッシュ氏や、06年没のジェラルド・フォード氏(93歳)、04年没のロナルド・レーガン氏(93歳)と、いずれも90歳を超えている。

 存命の大統領経験者では、フォード氏の後を受け、77年に第39代大統領に就任したジミー・カーター氏が95歳で最年長となる。フォード氏の前任のリチャード・ニクソン氏(1994年没)が81歳で亡くなったのは、むしろ若い方だといえる。