30年以上前に亡くなった大統領までさかのぼってみると、リンドン・ジョンソン氏は64歳でこの世を去ったが(73年没)、ハリー・トルーマン氏は88歳(72年没)、ドワイト・アイゼンハワー氏は78歳(69年没)であった。63年に46歳で暗殺されたジョン・F・ケネディ氏を除けば、第2次大戦後の大統領の没年齢平均は80代半ばとなる。

 なぜ大統領が長寿となっているか、原因は不明だ。とはいえ、大統領経験者として、比較的裕福な生活を送ることができるため、高いレベルの医療を受けることができるのは確かだ。

 また、大統領時代の忙しい日程から学んだ摂生方法を退任後も実施するなど、いろいろあるのかもしれない。いずれにしろ、大統領が比較的長寿なら、70代でも「高齢化」とはいえないし、執務にも支障はないのかもしれない。

 もう一つの仮説が世代交代の難しさである。特に、米国版「団塊の世代」の図太さが、政治の世界では次の世代交代を阻んでいるという見方である。

 トランプ氏は1946年生まれで、現在73歳である。実はビル・クリントン氏と、その直後に就任したジョージ・W・ブッシュ氏はいずれもトランプ氏と同じ46年生まれだ。

 ちなみに、前回の2016年選挙の民主党候補で、トランプ氏と大統領の椅子を争ったヒラリー・クリントン元国務長官は1947年生まれで、彼らの1歳下にあたる。トランプ氏の前任で、就任時47歳、現在58歳になるバラク・オバマ前大統領の8年間を除けば、93年からずっと同年齢の大統領の政権が続いているわけだ。

 米国の世代分類の中で、「ベビーブーム世代」は1946年から64年生まれと幅広い。この1946年というのは、米国では第2次大戦終結直後のベビーブームが始まった時期である。ベトナム戦争や公民権運動など若者による激しい戦いの時代を生き抜いてきた世代である。
2019年11月、米南部ルイジアナ州ボージャーシティーでの支持者集会で演説するトランプ大統領(ロイター=共同)
2019年11月、米南部ルイジアナ州ボージャーシティーでの支持者集会で演説するトランプ大統領(ロイター=共同)
 92年の大統領選では、クリントン氏は戦後生まれという「若さ」を強烈にアピールし、世代交代を訴えた。当時の対立候補は24年生まれで、世界恐慌を経験し、第2次大戦に従軍した「GI(兵隊)世代」(「偉大なる世代」という名称もある)のジョージ・H・W・ブッシュ大統領だったが、現職の強みを生かせなかった。

 2020年の選挙戦も、米国版「団塊の世代」の前後がいまだ政治の中心であることを示しているのかもしれない。