映画『スター・ウォーズ』の最新3部作が始まったのは2015年。ちょうど消費増税の影響が色濃く残り、他方で欧州に加え、中国やロシアなどの新興国経済が停滞し、海外情勢も悪かった。

 日銀にいるジェダイたちは、その中でマイナス金利、イールドカーブ(利回り曲線)・コントロールなど日銀内部にいるシスの残党と闘い、妥協案を加えながら大胆な金融緩和を何とか継続していた。だが、政府の財政スタンスは緊縮に偏り、援軍を呼びかけてもいなかった。

 最新3部作の2作目『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』が公開された2017年でも、この国内の経済政策の構図は変わらなかったが、トランプ政権誕生後の世界経済の改善を受けて、日本経済にも何とか雇用や成長率の改善が見られていた。日銀内部のジェダイの騎士たちがこの間も一貫して大胆な金融緩和を継続した功績は忘れてはいけない。だが、最新作『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』の公開を迎えた現在、日本経済は再び沈み始めていた。

 話をオープンカフェに戻そう。

暗黒卿「ダークサイドにはこういう名言がある」。シュゴ―。「『増税が2倍なら、挫折も2倍だ』というものだ」。シュゴ―。

 暗黒卿の黒仮面が冬の日差しで怪しく輝く。

「確かに消費税率は、アベ政権の下では2倍になってしまいました。それはアベノミクスを挫折させるだけではなく、デフレ脱却はもうできないかもしれない、という絶望を国民に招く恐れがありますね。本当はリフレ政策(デフレを脱して低インフレの中で雇用・経済の改善を目指す政策)というフォースの力を人々は信じなくなってしまい、さらにわれわれの生活はダークサイドに引きずり込まれてしまう。中にはファーストオーダー(MMT匿名支持者)のように極端な思想に走るものも出てくる」

暗黒卿「ファーストオーダーは、二つの政策を同時に考えることができず、フォースは一つの手段(財政政策)でしか生まれないと信じてしまっている。モデルを出してごらんというと、私と同じものだという。シュゴ―。だが、公共事業を増やす際にも、彼らの考えを採用しなくても、私のように低い金利で費用便益計算をすれば、今のだいたい3倍のインフラ整備が可能になると分かる。ファーストオーダーはいらないのだ。シュゴ―」

「御意。フォースは大胆な金融政策と積極的な財政政策によって実現されます。なぜかこの基本的な理解が難しい。ただファーストオーダー以上に脅威なのは、復活したデフレ皇帝が率いる旧帝国軍です。対して、われわれレジスタンスとジェダイの騎士は極めて劣勢に思えます」

暗黒卿「NHKでは、財政規模が102兆円になったことを問題視しているが、日本経済の名目規模が増加している。それに見合って財政規模が膨らむのはむしろ当然だ。マスコミはデフレ思考が染みついてしまっているな。世界各国の予算規模と国内総生産(GDP)の比率を調べればいいだけだが、そういう基本的な統計処理もできないのが今のマスコミだ。しかもNHKの予算規模は、日本政府の規模よりもGDP比率で急増しているぞ。シュゴ―、シュゴ―」
映画「スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け」のPRを東京都港区で行うJ・J・エイブラムス監督(左から3人目)、デイジー・リドリー(同4人目)ら=2019年12月12日
映画「スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け」のPRを東京都港区で行うJ・J・エイブラムス監督(左から3人目)、デイジー・リドリー(同4人目)ら=2019年12月12日
 暗黒闘気が激しく噴出したためか、いつの間にか日差しは翳(かげ)り、オープンカフェにいた客たちはほとんどいなくなっていた。嫌な予感がする。