アムステルダム大会(1928年)からリオデジャネイロ大会(2016年)まで、日本代表として出場した選手は77人。 現在プロで活躍している、3階級王者の井上尚弥、4階級王者の井岡一翔も、予選で敗退し出場権を逃しているのだ。 プロの世界で世界チャンピオンになる以上に、五輪に出場するのは非常に難しい。 
 
 一方で、プロボクシングとアマチュアボクシングは別競技ともいえる。大きな違いは「競技時間」だ。プロの世界戦の場合、3分12ラウンドの長丁場になる。それに比べてアマチュアボクシングは、3分3ラウンドと短い。陸上競技で言えば「長距離走」と「短距離走」ほど違う。
 
 筆者はどちらも経験しているが、競技時間によって変わるのは、まず「戦い方」だ。プロは長いため、考えながら戦い方を組み立てられる。前半、中盤、後半で状況が変わるため、状況に合わせた戦略が必要になる。

 アマチュアは時間が短く、展開が非常にスピーディーだ。ある程度自分が勝てるスタイルで臨む必要がある。また、プロのように事前に対戦相手が分かるわけではなく、トーナメントが発表されて初めて対戦相手が発表される。
 
 そのため、どのような相手にも対応できる、適応力が求められる。他にもトーナメント制で連戦が続くため、体重調整のコントロールスキルも必須だ。プロの場合、前日計量の1回となるが、アマチュアは試合ごとに計量があるため、大幅な増量はできない。
 
 階級の数もプロはミニマム級からヘビー級まで17の階級に分かれているが、五輪では、フライ級からヘビー級まで8階級と少ない。

 では、注目される今回の東京五輪の代表はどうか。まず、日本には開催国枠がある(男子は4階級、女子2階級)。現段階では、まだ正式な代表選手は決まっておらず、これからアジア予選に向かう。 

 国内の男子代表決定戦は、昨年11月に全日本選手権が行われ、優勝者は下記の通りだ。

・フライ級(52キロ)田中亮明(25歳=中京学院大中京高教員)

・フェザー級(57キロ)堤駿斗(20歳=東洋大)

・ライト級(63キロ)成松大介(29歳=自衛隊体育学校所属)

・ウェルター級(69キロ)岡澤セオン(23歳=鹿児島体育協会)

・ミドル級(75キロ)森脇唯人(23歳=自衛隊体育学校所属)

・ヘビー級(81キロ)梅村錬(22歳=拓殖大)

優勝してポーズをとる(左から)田中亮明、堤駿斗、成松大介、岡沢セオン、森脇唯人、梅村錬=2019年11月、阿久根市総合体育館
優勝してポーズをとる(左から)田中亮明、堤駿斗、成松大介、岡沢セオン、森脇唯人、梅村錬=2019年11月、阿久根市総合体育館
 この中でも、注目となる日本人選手は、成松大介だろう。成松は、リオ五輪のライト級(60キロ)で出場。2018年度アマチュア部門最優秀選手賞の実績を持つ。 昨年11月に行われた、東京五輪の予選代表選考会を兼ねた全日本選手権では63キロ級で優勝し、優秀選手賞にも選出されている。